墓石価格の相場

投稿日:

a63746832bd81728b0ab21289b0e295e_sお墓の値段の相場というのは、あってなきがごとし……というイメージがあります。石の話ですが「水物」という感じで、
石材店の業界団体が、毎年発表している「お墓購入者アンケート調査」というレポートがあります。これの2015年版を見てみましょう(http://www.info-ginza.com/zenyuseki/2015/user.pdf)。8ページに、「お墓購入価格(全国)」「お墓購入の平均価格推移」というグラフがありますね。こちらを見ると、おおよその相場観がつかめるのではないでしょうか。
まず、「お墓購入価格(全国)」の棒グラフから。実際に購入されたお墓の価格を積み上げてグラフ化したものです。もっとも多いのが100〜200万円で、全体の47.4%です。これがいわゆる「相場」といえるでしょうか。50〜100万円(24.8%)と200〜300万円(18.2%)を足し合わせると、9割を超える方が含まれます。
2つ目の「お墓購入の平均価格推移」を見ると、2004年からの平均価格がどう移り変わってきたかがわかります。平均の値は必ずしも全体の傾向をあらわすわけではありません。購入された方が突出して高い価格帯と、同じく突出して低い価格帯に集中しているとしたら、平均値は実態とは違った数字になりますね。……と、統計の話は脱線ですけれど。さて平均価格です。調査期間の2004年から2015年の間で、およそ10万円価格は下がってきています。
長期的な価格低下のもっとも大きな原因としては、墓石のタイプが多様化したことではないでしょうか。その次にあるグラフ「墓石タイプ別平均価格」をご覧ください。
従来型の和型(おそらく和型三段墓でしょう)は171万円。対して「シンプルな洋型」は156万円です。「シンプルな洋型」は、直方体型やかまぼこ型、オルガン型などと呼ばれるタイプのものでしょう。石材から墓石にするための加工が少なく、また彫刻する文字もすくないためにかかる費用を抑えることができるのですね。

洋型墓石_オルガン型住宅や自動車も同じですが、いわゆる「耐久消費財」としてのお墓の世界にもトレンドがある、というのは何度かこのブログでも触れました。それは世相とも強くリンクしていて、近年長く続く経済のデフレ傾向は、住宅なら狭小二世帯住宅、自動車なら軽自動車が選択されるような時代が形づくられています。この世の潮流は、お墓用の石材の輸入増にもつながりますし、さらには輸入した石材を国外に再輸出し、海外で加工して再度輸入するという仕組みをも生んでいます。今後経済自体が上向きになるかどうかはまだ不透明ですが、このデフレ下の社会だからこそ、以前は高額商品の典型だったお墓にも、より安価でより幅広いバリエーションを開拓することができた、という考え方もあります。都市部では納骨堂の普及も進み、「終の住処」に過大にお金をかけないという選択肢も現実化してきました。

いろんなサービスの価格がじりじりと下がり続けるデフレ社会では、「安かろう悪かろう」というものは存在しづらくなります。消費者は安くてもよいものを、と選択するようになりますから、サービスのクオリティ自体は上昇していくわけですね。経済が好況になれば、「お金をかけて良いものを」という選択肢も生まれます。その時に、デフレ下で育まれた「安くて良いもの」と並立していくことが、消費者にとってはよりよいことではないでしょうか。

墓石価格の相場

投稿日:

a63746832bd81728b0ab21289b0e295e_sお墓の値段の相場というのは、あってなきがごとし……というイメージがあります。石の話ですが「水物」という感じで、
石材店の業界団体が、毎年発表している「お墓購入者アンケート調査」というレポートがあります。これの2015年版を見てみましょう(http://www.info-ginza.com/zenyuseki/2015/user.pdf)。8ページに、「お墓購入価格(全国)」「お墓購入の平均価格推移」というグラフがありますね。こちらを見ると、おおよその相場観がつかめるのではないでしょうか。
まず、「お墓購入価格(全国)」の棒グラフから。実際に購入されたお墓の価格を積み上げてグラフ化したものです。もっとも多いのが100〜200万円で、全体の47.4%です。これがいわゆる「相場」といえるでしょうか。50〜100万円(24.8%)と200〜300万円(18.2%)を足し合わせると、9割を超える方が含まれます。
2つ目の「お墓購入の平均価格推移」を見ると、2004年からの平均価格がどう移り変わってきたかがわかります。平均の値は必ずしも全体の傾向をあらわすわけではありません。購入された方が突出して高い価格帯と、同じく突出して低い価格帯に集中しているとしたら、平均値は実態とは違った数字になりますね。……と、統計の話は脱線ですけれど。さて平均価格です。調査期間の2004年から2015年の間で、およそ10万円価格は下がってきています。
長期的な価格低下のもっとも大きな原因としては、墓石のタイプが多様化したことではないでしょうか。その次にあるグラフ「墓石タイプ別平均価格」をご覧ください。
従来型の和型(おそらく和型三段墓でしょう)は171万円。対して「シンプルな洋型」は156万円です。「シンプルな洋型」は、直方体型やかまぼこ型、オルガン型などと呼ばれるタイプのものでしょう。石材から墓石にするための加工が少なく、また彫刻する文字もすくないためにかかる費用を抑えることができるのですね。

洋型墓石_オルガン型住宅や自動車も同じですが、いわゆる「耐久消費財」としてのお墓の世界にもトレンドがある、というのは何度かこのブログでも触れました。それは世相とも強くリンクしていて、近年長く続く経済のデフレ傾向は、住宅なら狭小二世帯住宅、自動車なら軽自動車が選択されるような時代が形づくられています。この世の潮流は、お墓用の石材の輸入増にもつながりますし、さらには輸入した石材を国外に再輸出し、海外で加工して再度輸入するという仕組みをも生んでいます。今後経済自体が上向きになるかどうかはまだ不透明ですが、このデフレ下の社会だからこそ、以前は高額商品の典型だったお墓にも、より安価でより幅広いバリエーションを開拓することができた、という考え方もあります。都市部では納骨堂の普及も進み、「終の住処」に過大にお金をかけないという選択肢も現実化してきました。

いろんなサービスの価格がじりじりと下がり続けるデフレ社会では、「安かろう悪かろう」というものは存在しづらくなります。消費者は安くてもよいものを、と選択するようになりますから、サービスのクオリティ自体は上昇していくわけですね。経済が好況になれば、「お金をかけて良いものを」という選択肢も生まれます。その時に、デフレ下で育まれた「安くて良いもの」と並立していくことが、消費者にとってはよりよいことではないでしょうか。