お墓あれこれ① 〜お墓と家紋の関係

投稿日:

家紋の必要性

お墓参りに行ったとき、自分の家のお墓の家紋を見たことがありますか? また、他の家のお墓に家紋が彫られているのを見たことはありますか?おそらく「見たことがある」という方が圧倒的に多いと思います。そのために、「お墓には必ず家紋を入れなければいけない」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
ですが、お墓に家紋を入れるということは厳密な決まりごとではありません。あくまで施主の自由意志で決められるものです。和型墓石が主流だったかつては「水鉢(みずばち)」に彫られているのが一般的でしたが、墓石のデザインが多岐に渡るようになった最近では、特に家紋にこだわる必要もなくなってきたようです。
ですが、やはり家紋が入っていると「お墓らしさ」を感じますし、最近はそのデザイン性の高さから海外からも大きく注目されています。納骨堂などでお墓の存在自体が身近になっている昨今、「かっこういい」という感覚で家紋を入れるのも良いと思います。
では、いざ「家紋を入れよう!」となった時に、どうやって自分の家の家紋を調べれば良いのでしょうか? また、家紋の種類はどんなものがあるのでしょうか? どういう成り立ちで今の形になっていったのでしょうか?
2回にわたって、家紋について簡単にご紹介していきます。

家紋の成り立ちとお墓との関係性

「家紋」とは、その名の通り「家」の「紋所」であり、家の出自を示すエンブレムです。
家紋の始まりは平安時代にまで遡れると言います。最初は調度品等に装飾目的で様々な文様が描かれてましたが、だんだん貴族が自らの権勢を誇示するためという目的が占めるようになり、平安時代後期になると著名な貴族が独自の紋を牛車に入れて都を練り歩いたそうです。これが家紋の起源であると言われています。
次第に政治の中心が貴族から武家に推移していき、家紋が大きな役割を果たすようになっていきます。武家の世界は何と言っても戦に勝つことが第一義。その戦の際に、味方の軍勢の士気を昂めるために幟旗(のぼりばた)に家紋を入れたり、敵味方の区別をつけるため各種武具に家紋を入れるという流れが定着し始めます。時代劇などでご覧になった方も多いことでしょう。実に、家紋は武家によって定着した独自の文化の一つといえます。
お墓に家紋を入れるようになったのは、江戸時代です。江戸は天下泰平の時代。時代劇の世界では、水戸光圀公が「この紋所が目に入らぬか」と諸国行脚して回っていましたが、基本的には戦のない時代が数百年と続き、家紋で家柄を誇示することができなくなったため、人目に触れやすい墓石に家紋を入れようということになったとか。

家紋の探し方と必要性

自分の家の家紋を知るためには、どうすれば良いのでしょうか?
まず、着物の紋を見てみてください。昔の方は冠婚葬祭の場は必ず紋の入った着物を着て参加していました。「紋が入る=正装」なので、留袖(とめそで)や訪問着(ほうもんぎ)といった礼服には必ず家紋が入っています(男性の着物の正装名はまさに「紋付袴」です)。また、神棚や仏壇にも家紋が入っていることがありますので見てみてください。
それでもわからない場合・本家ではなく分家である場合・本家が遠方にある場合は、調べたい家の最も古い戸籍を取得し、自分でヒアリングをするか、苗字と土地の関係性から推測するか、調査をしている代行業者に頼むしかありません。しかし、いずれの場合も時間・お金がかかります。
そこで、最近ではオリジナルで家紋を作るという方もいらっしゃるようです。自分の好きな絵柄の家紋を「これが私の家紋です」と言えたら、嬉しいですよね。インターネットで探すと、家紋制作サービスの情報がよく出てきます。多様なサービスが展開されているようです。家紋は格式ばったものではなく、もっとカジュアルに考えてもいいものなのかもしれませんね。
次回は、家紋の種類や使用の際の決まり事をご紹介します。

お墓あれこれ① 〜お墓と家紋の関係

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家紋の必要性

お墓参りに行ったとき、自分の家のお墓の家紋を見たことがありますか? また、他の家のお墓に家紋が彫られているのを見たことはありますか?おそらく「見たことがある」という方が圧倒的に多いと思います。そのために、「お墓には必ず家紋を入れなければいけない」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
ですが、お墓に家紋を入れるということは厳密な決まりごとではありません。あくまで施主の自由意志で決められるものです。和型墓石が主流だったかつては「水鉢(みずばち)」に彫られているのが一般的でしたが、墓石のデザインが多岐に渡るようになった最近では、特に家紋にこだわる必要もなくなってきたようです。
ですが、やはり家紋が入っていると「お墓らしさ」を感じますし、最近はそのデザイン性の高さから海外からも大きく注目されています。納骨堂などでお墓の存在自体が身近になっている昨今、「かっこういい」という感覚で家紋を入れるのも良いと思います。
では、いざ「家紋を入れよう!」となった時に、どうやって自分の家の家紋を調べれば良いのでしょうか? また、家紋の種類はどんなものがあるのでしょうか? どういう成り立ちで今の形になっていったのでしょうか?
2回にわたって、家紋について簡単にご紹介していきます。

家紋の成り立ちとお墓との関係性

「家紋」とは、その名の通り「家」の「紋所」であり、家の出自を示すエンブレムです。
家紋の始まりは平安時代にまで遡れると言います。最初は調度品等に装飾目的で様々な文様が描かれてましたが、だんだん貴族が自らの権勢を誇示するためという目的が占めるようになり、平安時代後期になると著名な貴族が独自の紋を牛車に入れて都を練り歩いたそうです。これが家紋の起源であると言われています。
次第に政治の中心が貴族から武家に推移していき、家紋が大きな役割を果たすようになっていきます。武家の世界は何と言っても戦に勝つことが第一義。その戦の際に、味方の軍勢の士気を昂めるために幟旗(のぼりばた)に家紋を入れたり、敵味方の区別をつけるため各種武具に家紋を入れるという流れが定着し始めます。時代劇などでご覧になった方も多いことでしょう。実に、家紋は武家によって定着した独自の文化の一つといえます。
お墓に家紋を入れるようになったのは、江戸時代です。江戸は天下泰平の時代。時代劇の世界では、水戸光圀公が「この紋所が目に入らぬか」と諸国行脚して回っていましたが、基本的には戦のない時代が数百年と続き、家紋で家柄を誇示することができなくなったため、人目に触れやすい墓石に家紋を入れようということになったとか。

家紋の探し方と必要性

自分の家の家紋を知るためには、どうすれば良いのでしょうか?
まず、着物の紋を見てみてください。昔の方は冠婚葬祭の場は必ず紋の入った着物を着て参加していました。「紋が入る=正装」なので、留袖(とめそで)や訪問着(ほうもんぎ)といった礼服には必ず家紋が入っています(男性の着物の正装名はまさに「紋付袴」です)。また、神棚や仏壇にも家紋が入っていることがありますので見てみてください。
それでもわからない場合・本家ではなく分家である場合・本家が遠方にある場合は、調べたい家の最も古い戸籍を取得し、自分でヒアリングをするか、苗字と土地の関係性から推測するか、調査をしている代行業者に頼むしかありません。しかし、いずれの場合も時間・お金がかかります。
そこで、最近ではオリジナルで家紋を作るという方もいらっしゃるようです。自分の好きな絵柄の家紋を「これが私の家紋です」と言えたら、嬉しいですよね。インターネットで探すと、家紋制作サービスの情報がよく出てきます。多様なサービスが展開されているようです。家紋は格式ばったものではなく、もっとカジュアルに考えてもいいものなのかもしれませんね。
次回は、家紋の種類や使用の際の決まり事をご紹介します。