納骨式のマナー

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納骨式にまつわるあれこれ

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火葬をしてご遺体をご遺骨にしたら、そのお骨はお墓に納めなければなりません。これを納骨といい、このための儀式を納骨式といいます。
「納めなければいけません」と書きましたが、これは法律で決まっているわけではありません。法律上決まっているのは、「ご遺体は火葬すること」「埋葬する場合は都道府県知事が許可した墓地に埋葬すること」です。お骨は自宅に置いたままにしても、基本的には問題はありません。ただ、温度や湿度の変化がある一般家庭に長期間置いておくと、遺骨が液状化してしまう場合もあるといいます。自宅に安置したい場合は、火葬したお骨そのままではなく、お骨の一部を加工する手元供養品にしておくとよいでしょう。遺灰をクリスタルに封入した置物や、遺灰を焼き込んだ陶器を使ったペンダントにするなど、手元供養品は進歩しています。一般に納骨は四十九日を期に行うことになっていますから、手元供養もここをめどに行ってもよいかもしれません。お墓に納骨しない方だけではなく、たとえば一家のお墓が遠距離にある場合、海外生活をしている場合など日常的なお墓へのお参りが難しい方にも、手元供養品はおススメです。

いきなり脱線してしまいましたが、納骨式についてお話しましょう。仏教の考え方では、人は亡くなってから七日目にあたる初七日に、三途の川の川辺につくと言われています。そこから二七日、三七日、四七日と七日ごとにお裁きを受けて現世での行いを判断されます。そして七七日にあたる四十九日には、来世での行先……つまり極楽に行くかどうかが決まる、とされているのです。四十九日では故人の成仏と極楽浄土にいけるように願います。このように、四十九日の法要は亡くなられた後の儀式としてはもっとも重要なものなのです。
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四十九日は、さまざまな意味で葬儀から法事へと切り替わるタイミングです。お位牌も、葬儀のときの白木の位牌から、四十九日を期に本位牌に作り替えます。これも、四十九日の前に用意しておき、法要の際にお坊様から「魂入れ」をしていただいた上で自宅の仏壇に安置します。また、それまで喪に服していた遺族の喪が明け、日常の生活に戻る日でもあります。

さて、四十九日が納骨の日だ……という前提でお話をしてきましたが、急に亡くなられた方の場合など、お墓の手配がまだ済んでいないこともあるでしょう。この場合は、百カ日、一周忌などをめどにお墓を手配し、納骨をします。希望する霊園に空きがない場合、納骨堂を一時的に利用する場合もあるようです。この場合には、お墓の引っ越しについての法要や手続きが必要になります。

納骨式の実際

では、納骨式の段取りについて、順を追ってみていきましょう。

納骨式に関係するのは、お寺のお坊様、お骨を納めるお墓がある霊園、そして会食をする場合は料理の仕出しや料理店です。寺院墓地に納める場合は、お寺と霊園を分けて手配する必要はありません。納骨式を行う前に、これらの関係先に連絡する必要があります。

まず、納骨の法要だけにするか、その後に会食(お斎)をするかを決めます。
納骨式は身近の親族だけで行うことが多く、参列する人数は少ないのが一般的です。人数の見当をつけたら、会場を決めて、仕出し料理の手配や料理店の予約などを行います。予約の際には法事での利用であることを伝え、タイやエビなどのめでたい献立にならないように確認しておきましょう。
まず注意点ですが、四十九日の法要と納骨式を同じ日に行いたい場合は、お寺にその旨をお伝えしましょう。通常の法要よりも、実際に墓地に行くなど必要なことが多いので、まずお坊様の予定を確認する必要があるからです。
納骨式はお墓にお骨を納める行事ですから、法要も屋外で行う場合があります。このため、上信越や東北、北海道などの寒冷地では納骨が冬場にかかる場合は、次の春まで待つ場合もあるようです。新しいお墓を用意した場合は、墓石に魂を入れる「開眼法要」も行いますから、屋外での時間はさらに長くなります。お年を召した方、妊娠中の方、体調の悪い方には十分配慮しましょう。無理に参列なさらずに、過ごしやすい屋内でお待ちいただいた方がよいかもしれません。

納骨には、「埋葬許可証」が必要です。これは、故人が亡くなった際に死亡届を市役所などに提出すると、火葬許可証と共に発行されるものです。ほかに必要なものは、お墓参りで使うお数珠、お線香、仏花、お供え物などです。

実際の流れを簡単に上げておきましょう。
まず四十九日の法要を行い、続いて納骨式を行う場合を想定しています。
施主(お葬式では「喪主」ですが、忌日法要などを行うのは「施主」という名前になります)は、参列者に四十九日の法要のお礼を申し上げ、続いて納骨式についてのご案内をします。墓地で行いますから、墓地への移動手段(バスや車など)を告げましょう。近親者だけで行う場合がほとんどですが、「ご参列の方は」という言い方をすればよいでしょう。

お墓は、事前に草取りや掃除をしておくと気持ちよく納骨式に臨めます。掃除をしている場合でも、墓石には水をかけて浄め、仏花やお供え物を置いて準備をします。

準備が済んだら、お坊様にお願いして読経をしていただきます。浄土真宗の場合、墓前で上げるお経は「讃仏偈」「重誓偈」などの短いもの、屋内の場合は「仏説阿弥陀経」などが多いようです。読経が終わったら、参列者が焼香を行います。まず施主が行い、ほかの遺族は縁が深かった順に行います。
次は納骨です。納骨するスペース(カロート)を霊園の管理者に開けてもらい、ご遺骨を収めます。骨壺で入れるか、袋に納めて入れるかなど納骨の方法は、宗教や地方によって異なりますので確認しておきましょう。
納骨が終われば、再度お坊様による読経が行われます。再度参列者が焼香を行い、これで法要は終わりです。
施主が挨拶に立ち、参列のお礼とお帰りの案内をします。会食(お斎)がある場合は、参列者とお坊様をそちらにお連れしましょう。

納骨式での服装ですが、基本的に四十九日の法要までは本式の喪服(礼服)を着用します。男性の場合は黒のスーツ、ネクタイ、靴下、黒い靴。白いワイシャツを中に着て、派手な時計や装身具は避けます。女性は黒のスーツやワンピース、装身具はパール以外避けたほうがよいとされています。四十九日以降は、略喪服で問題ありません。

お香典なども、四十九日の法要に準じます。つまり四十九日までは「御霊前」、それ以降であれば「御仏前」となります。浄土真宗の場合は通夜から「御仏前」を用います。また、「御供物料」であれば宗派や時期を問わず使えます。「御供物料」は、仏教以外でも神道やキリスト教でも使えますので、覚えておくと便利です。

納骨式は、ほとんどの場合四十九日の法要の後に行います。ですから、四十九日とセットだと考えておけば、服装や不祝儀袋の表書きに迷うことも少ないでしょう。

納骨式のマナー

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納骨式にまつわるあれこれ

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火葬をしてご遺体をご遺骨にしたら、そのお骨はお墓に納めなければなりません。これを納骨といい、このための儀式を納骨式といいます。
「納めなければいけません」と書きましたが、これは法律で決まっているわけではありません。法律上決まっているのは、「ご遺体は火葬すること」「埋葬する場合は都道府県知事が許可した墓地に埋葬すること」です。お骨は自宅に置いたままにしても、基本的には問題はありません。ただ、温度や湿度の変化がある一般家庭に長期間置いておくと、遺骨が液状化してしまう場合もあるといいます。自宅に安置したい場合は、火葬したお骨そのままではなく、お骨の一部を加工する手元供養品にしておくとよいでしょう。遺灰をクリスタルに封入した置物や、遺灰を焼き込んだ陶器を使ったペンダントにするなど、手元供養品は進歩しています。一般に納骨は四十九日を期に行うことになっていますから、手元供養もここをめどに行ってもよいかもしれません。お墓に納骨しない方だけではなく、たとえば一家のお墓が遠距離にある場合、海外生活をしている場合など日常的なお墓へのお参りが難しい方にも、手元供養品はおススメです。

いきなり脱線してしまいましたが、納骨式についてお話しましょう。仏教の考え方では、人は亡くなってから七日目にあたる初七日に、三途の川の川辺につくと言われています。そこから二七日、三七日、四七日と七日ごとにお裁きを受けて現世での行いを判断されます。そして七七日にあたる四十九日には、来世での行先……つまり極楽に行くかどうかが決まる、とされているのです。四十九日では故人の成仏と極楽浄土にいけるように願います。このように、四十九日の法要は亡くなられた後の儀式としてはもっとも重要なものなのです。
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四十九日は、さまざまな意味で葬儀から法事へと切り替わるタイミングです。お位牌も、葬儀のときの白木の位牌から、四十九日を期に本位牌に作り替えます。これも、四十九日の前に用意しておき、法要の際にお坊様から「魂入れ」をしていただいた上で自宅の仏壇に安置します。また、それまで喪に服していた遺族の喪が明け、日常の生活に戻る日でもあります。

さて、四十九日が納骨の日だ……という前提でお話をしてきましたが、急に亡くなられた方の場合など、お墓の手配がまだ済んでいないこともあるでしょう。この場合は、百カ日、一周忌などをめどにお墓を手配し、納骨をします。希望する霊園に空きがない場合、納骨堂を一時的に利用する場合もあるようです。この場合には、お墓の引っ越しについての法要や手続きが必要になります。

納骨式の実際

では、納骨式の段取りについて、順を追ってみていきましょう。

納骨式に関係するのは、お寺のお坊様、お骨を納めるお墓がある霊園、そして会食をする場合は料理の仕出しや料理店です。寺院墓地に納める場合は、お寺と霊園を分けて手配する必要はありません。納骨式を行う前に、これらの関係先に連絡する必要があります。

まず、納骨の法要だけにするか、その後に会食(お斎)をするかを決めます。
納骨式は身近の親族だけで行うことが多く、参列する人数は少ないのが一般的です。人数の見当をつけたら、会場を決めて、仕出し料理の手配や料理店の予約などを行います。予約の際には法事での利用であることを伝え、タイやエビなどのめでたい献立にならないように確認しておきましょう。
まず注意点ですが、四十九日の法要と納骨式を同じ日に行いたい場合は、お寺にその旨をお伝えしましょう。通常の法要よりも、実際に墓地に行くなど必要なことが多いので、まずお坊様の予定を確認する必要があるからです。
納骨式はお墓にお骨を納める行事ですから、法要も屋外で行う場合があります。このため、上信越や東北、北海道などの寒冷地では納骨が冬場にかかる場合は、次の春まで待つ場合もあるようです。新しいお墓を用意した場合は、墓石に魂を入れる「開眼法要」も行いますから、屋外での時間はさらに長くなります。お年を召した方、妊娠中の方、体調の悪い方には十分配慮しましょう。無理に参列なさらずに、過ごしやすい屋内でお待ちいただいた方がよいかもしれません。

納骨には、「埋葬許可証」が必要です。これは、故人が亡くなった際に死亡届を市役所などに提出すると、火葬許可証と共に発行されるものです。ほかに必要なものは、お墓参りで使うお数珠、お線香、仏花、お供え物などです。

実際の流れを簡単に上げておきましょう。
まず四十九日の法要を行い、続いて納骨式を行う場合を想定しています。
施主(お葬式では「喪主」ですが、忌日法要などを行うのは「施主」という名前になります)は、参列者に四十九日の法要のお礼を申し上げ、続いて納骨式についてのご案内をします。墓地で行いますから、墓地への移動手段(バスや車など)を告げましょう。近親者だけで行う場合がほとんどですが、「ご参列の方は」という言い方をすればよいでしょう。

お墓は、事前に草取りや掃除をしておくと気持ちよく納骨式に臨めます。掃除をしている場合でも、墓石には水をかけて浄め、仏花やお供え物を置いて準備をします。

準備が済んだら、お坊様にお願いして読経をしていただきます。浄土真宗の場合、墓前で上げるお経は「讃仏偈」「重誓偈」などの短いもの、屋内の場合は「仏説阿弥陀経」などが多いようです。読経が終わったら、参列者が焼香を行います。まず施主が行い、ほかの遺族は縁が深かった順に行います。
次は納骨です。納骨するスペース(カロート)を霊園の管理者に開けてもらい、ご遺骨を収めます。骨壺で入れるか、袋に納めて入れるかなど納骨の方法は、宗教や地方によって異なりますので確認しておきましょう。
納骨が終われば、再度お坊様による読経が行われます。再度参列者が焼香を行い、これで法要は終わりです。
施主が挨拶に立ち、参列のお礼とお帰りの案内をします。会食(お斎)がある場合は、参列者とお坊様をそちらにお連れしましょう。

納骨式での服装ですが、基本的に四十九日の法要までは本式の喪服(礼服)を着用します。男性の場合は黒のスーツ、ネクタイ、靴下、黒い靴。白いワイシャツを中に着て、派手な時計や装身具は避けます。女性は黒のスーツやワンピース、装身具はパール以外避けたほうがよいとされています。四十九日以降は、略喪服で問題ありません。

お香典なども、四十九日の法要に準じます。つまり四十九日までは「御霊前」、それ以降であれば「御仏前」となります。浄土真宗の場合は通夜から「御仏前」を用います。また、「御供物料」であれば宗派や時期を問わず使えます。「御供物料」は、仏教以外でも神道やキリスト教でも使えますので、覚えておくと便利です。

納骨式は、ほとんどの場合四十九日の法要の後に行います。ですから、四十九日とセットだと考えておけば、服装や不祝儀袋の表書きに迷うことも少ないでしょう。