お墓の値段とは

投稿日:

墓石と墓地の値段だけではありません

さて、今回はいよいよお墓とお金についてのお話です。不動産にせよ自動車にせよ、大きな買い物をしようとすると、いわゆる「本体価格」以外にもたくさん諸費用が発生し、意外に物入りになることが多いですね。
では、まずはお墓を建立するときにかかる費用を挙げてみましょう。

  • 墓地の永代使用料
  • 年間管理料
  • 墓石建立費
  • 開眼法要や納骨法要の費用

大きく分けると、上の4項目になります。また、寺院墓地の場合は檀家になる必要があるため、入檀料や護持会費が必要になる場合もあります。
それぞれについて、簡単に見ていきましょう。

永代使用料は「借地料」

f67cd64b40bbc7613396c6c225eefd5b_s

お墓を建てるときには、当然ですが土地が必要。家を建てるときに土地が必要なのと同じですが、この土地は「永代使用料(公営の場合は使用料)」を払って借りるものです。「永代」という漢字から「未来永劫つかえるはず」と思う方もいらっしゃるでしょうが、実際には期限(三十年というケースが多いようです)がある場合があります。また、一定期間管理料が支払われなくなった場合には、使用権が消滅してしまう場合もあるのです。それぞれ契約書類に明記されていますので、使用契約を結ぶ前にしっかり確認しておきましょう。霊園の維持管理につかわれる「年間管理料」も、契約時に確認します。
永代使用料には、「相場」はありません。墓地の所在地、開発費や設備費、墓地内の通路や緑地、樹木の配置、施設の規模や内容、さらに寺院墓地の場合はお寺の格など、影響する要素はたくさんあります。ですから一概に比較はできないのですが、一般に公営のほうが民営よりも安いとされています。
ここで東京都の都営霊園の使用料を見てみましょう。

  • 一般埋蔵施設(通常の墓地)
    • 青山霊園(1.55~3.70㎡あたり)4,206,700~10,041,800円
    • 多磨霊園(1.75~5.90㎡あたり)1,538,250~5,186,100円
    • 谷中霊園(1.60~1.90㎡あたり)2,688,000~3,192,000円
    • 芝生埋蔵施設(芝生、洋型墓石前提の霊園)
    • 八王子霊園(4.0㎡)1,124,000円
    • 小平霊園(2.0㎡)1,720,000円
    ※参考:合葬型のため墓石は立てられません

  • 小平霊園
    樹林型合葬施設(遺骨一体あたり)131,000円
    (粉状遺骨一体あたり)43,000円
  • 樹木型合葬施設(遺骨一体あたり)184,000円
  • 東京都立霊園の公募数・応募数・倍率(平成26年度分)
    • 青山霊園 公募数50 応募数712  倍率14.2倍
    • 多磨霊園 公募数380 応募数1,382 倍率3.6倍
    • 谷中霊園 公募数60 応募数772  倍率12.9倍
    • 小平霊園 公募数100 応募数412  倍率4.1倍(芝生埋蔵施設)
    • 都立霊園合計公募数1,200 応募数8,478 倍率7.1倍

いかがでしょうか。同じ都営の霊園でも、場所によってこれだけの開きがあります。特に都心の一等地にあり、著名人もたくさん眠っている青山霊園の使用料にはみなさん驚かれたのではないでしょうか。一般に公営の霊園よりも民間のほうが高いといいますが、青山霊園はちょっと例外という感じがしますね。首都圏の民間霊園の場合は、1㎡あたり80万円以上というケースが多いようです。それと、倍率の高さも驚きです。民営でも人気の霊園では高倍率になる場合がありますが、絶対数が限られている公営の霊園ほどではありません。
また、公営霊園には申し込みの際に厳しい条件がつく場合がほとんどです。原則として運営している地方自治体に現住所があり、一定期間以上住んでいること。他には、すでに遺骨があること(生前に取得するのは難しい)、お墓の継承者がいること(無縁にならないようにすること)、などの条件があります。

民間霊園(例)東京都文京区
一般墓所
0.45㎡ 1,125,000円~
0.60㎡ 1,500,000円~
0.75㎡ 1,925,000円~
1,00㎡ 2,500,000円~
こちらの霊園は都心の一等地にあるのでちょっと割高ですが、それでも青山霊園よりは安く、多磨霊園よりは高いというところでしょうか。

こちらも千差万別、墓石建立費

さて、いよいよ注目の墓石の値段です。……といいたいところですが、これもまた本当に千差万別。どの石材を使うか、大きさはどうするか、和型三段墓か洋型か、外柵や灯篭、墓誌などの付属物はどうするか……これらの条件によって、大きく開きがあります。詳しくは石材店にお問い合わせいただくのが一番ですが、まず基準としては墓石のみで110~120万円ほど、外柵まで入れて200万円ほどを見込むのが一般的です。石材や加工に手をかけると、一千万円の大台に乗る場合もあるようです。
これだけのまとまった金額になると、「複数の石材店でそれぞれ見積もりを取って……」と考えたくなりますが、実際はなかなか難しい場合がほとんどです。というのも、民営霊園の場合はほとんどが霊園指定の石材店があり、そこで墓石を購入することになるからです。担当者としっかり話し合い、カタログやサンプル、実際に霊園に建っているお墓を確認しながら見積もりを作り、納得のいくお墓を建てましょう。
また、霊園によっては永代使用料と墓石建立費をセットで受け付けている場合があります。
「一般墓地(1平米あたり)総額200万円」などという表記がある場合、これは永代使用料と墓石建立費を合わせた価格になります。セットになっているので割安という場合もありますが、墓石のデザインや石材、刻むことができる文字数などに制限がある場合がほとんどなので、注意が必要です。これは、霊園全体の印象を統一するためです。特に最近造営された民営霊園で、「日当たりが良くて、見渡す限り一面の……」という印象を受けるものの場合、特にこのセットパックを要求される場合が多いでしょう。

お布施の相場は……「お気持ちで」っていくら?

定価や価格表がないお墓にまつわるお金の中でも、いちばん不透明に見えるのがこの「お布施」でしょう。
お墓を建てるときには、「開眼法要」「納骨法要」などの儀式を行い、お願いした僧職の方にお布施をお渡しします。「開眼法要」とは別名「魂入れ」ということからもわかるように、それまではただの石だった墓石を「お墓」にするための儀式です。また、亡くなって火葬されてから四十九日(神式の場合は五十日。また、火葬のあとすぐに納骨する場合もあります)経った後にお墓にお骨を納めますが、その際の法要を「納骨法要」といいます。
お布施は「法要をお願いしたお坊様へのお礼」ですから、明確な相場はありません。お寺に問い合わせるのもなかなか気が引けますが、意を決して問い合わせてみても「お気持ちで結構です」といわれてしまい、困った……というお話もよく聞きます。さばけているお寺さんの場合は「うちはだいたいこのくらいですよ」と教えてくださる場合もありますが、そこはお寺による、としか言いようがありません。
どうしても、という場合は、石材店の担当者にこっそり聞いてみるのがいいでしょう。特に霊園指定の石材店の場合は、その霊園で建てられているすべてのお墓に関係しているわけですから、細かいところまで把握しているはず。お坊さんに直接聞くよりはハードルは低いですね。

さて、このように「お墓にかかる費用」というのは一見すると目に見えないところがたくさんあることがわかりました。特に墓石建立費用などは、「必要そうなものを積み上げて予算を組み立てる」という形で考えてしまうと、気が付いたら相当な額になっていた、ということになりかねません。そこで、まずはもっとも大きな部分を占める墓地の永代使用料をベースに全体の予算を決め、その枠の中で墓石建立に割り振れる金額を考えていくとよいでしょう。毎年かかってくる年間管理料や、年回忌法要なども含めた大きな枠としてとらえるのもよいかもしれません。

お墓の値段とは

投稿日:

墓石と墓地の値段だけではありません

さて、今回はいよいよお墓とお金についてのお話です。不動産にせよ自動車にせよ、大きな買い物をしようとすると、いわゆる「本体価格」以外にもたくさん諸費用が発生し、意外に物入りになることが多いですね。
では、まずはお墓を建立するときにかかる費用を挙げてみましょう。

  • 墓地の永代使用料
  • 年間管理料
  • 墓石建立費
  • 開眼法要や納骨法要の費用

大きく分けると、上の4項目になります。また、寺院墓地の場合は檀家になる必要があるため、入檀料や護持会費が必要になる場合もあります。
それぞれについて、簡単に見ていきましょう。

永代使用料は「借地料」

f67cd64b40bbc7613396c6c225eefd5b_s

お墓を建てるときには、当然ですが土地が必要。家を建てるときに土地が必要なのと同じですが、この土地は「永代使用料(公営の場合は使用料)」を払って借りるものです。「永代」という漢字から「未来永劫つかえるはず」と思う方もいらっしゃるでしょうが、実際には期限(三十年というケースが多いようです)がある場合があります。また、一定期間管理料が支払われなくなった場合には、使用権が消滅してしまう場合もあるのです。それぞれ契約書類に明記されていますので、使用契約を結ぶ前にしっかり確認しておきましょう。霊園の維持管理につかわれる「年間管理料」も、契約時に確認します。
永代使用料には、「相場」はありません。墓地の所在地、開発費や設備費、墓地内の通路や緑地、樹木の配置、施設の規模や内容、さらに寺院墓地の場合はお寺の格など、影響する要素はたくさんあります。ですから一概に比較はできないのですが、一般に公営のほうが民営よりも安いとされています。
ここで東京都の都営霊園の使用料を見てみましょう。

  • 一般埋蔵施設(通常の墓地)
    • 青山霊園(1.55~3.70㎡あたり)4,206,700~10,041,800円
    • 多磨霊園(1.75~5.90㎡あたり)1,538,250~5,186,100円
    • 谷中霊園(1.60~1.90㎡あたり)2,688,000~3,192,000円
    • 芝生埋蔵施設(芝生、洋型墓石前提の霊園)
    • 八王子霊園(4.0㎡)1,124,000円
    • 小平霊園(2.0㎡)1,720,000円
    ※参考:合葬型のため墓石は立てられません

  • 小平霊園
    樹林型合葬施設(遺骨一体あたり)131,000円
    (粉状遺骨一体あたり)43,000円
  • 樹木型合葬施設(遺骨一体あたり)184,000円
  • 東京都立霊園の公募数・応募数・倍率(平成26年度分)
    • 青山霊園 公募数50 応募数712  倍率14.2倍
    • 多磨霊園 公募数380 応募数1,382 倍率3.6倍
    • 谷中霊園 公募数60 応募数772  倍率12.9倍
    • 小平霊園 公募数100 応募数412  倍率4.1倍(芝生埋蔵施設)
    • 都立霊園合計公募数1,200 応募数8,478 倍率7.1倍

いかがでしょうか。同じ都営の霊園でも、場所によってこれだけの開きがあります。特に都心の一等地にあり、著名人もたくさん眠っている青山霊園の使用料にはみなさん驚かれたのではないでしょうか。一般に公営の霊園よりも民間のほうが高いといいますが、青山霊園はちょっと例外という感じがしますね。首都圏の民間霊園の場合は、1㎡あたり80万円以上というケースが多いようです。それと、倍率の高さも驚きです。民営でも人気の霊園では高倍率になる場合がありますが、絶対数が限られている公営の霊園ほどではありません。
また、公営霊園には申し込みの際に厳しい条件がつく場合がほとんどです。原則として運営している地方自治体に現住所があり、一定期間以上住んでいること。他には、すでに遺骨があること(生前に取得するのは難しい)、お墓の継承者がいること(無縁にならないようにすること)、などの条件があります。

民間霊園(例)東京都文京区
一般墓所
0.45㎡ 1,125,000円~
0.60㎡ 1,500,000円~
0.75㎡ 1,925,000円~
1,00㎡ 2,500,000円~
こちらの霊園は都心の一等地にあるのでちょっと割高ですが、それでも青山霊園よりは安く、多磨霊園よりは高いというところでしょうか。

こちらも千差万別、墓石建立費

さて、いよいよ注目の墓石の値段です。……といいたいところですが、これもまた本当に千差万別。どの石材を使うか、大きさはどうするか、和型三段墓か洋型か、外柵や灯篭、墓誌などの付属物はどうするか……これらの条件によって、大きく開きがあります。詳しくは石材店にお問い合わせいただくのが一番ですが、まず基準としては墓石のみで110~120万円ほど、外柵まで入れて200万円ほどを見込むのが一般的です。石材や加工に手をかけると、一千万円の大台に乗る場合もあるようです。
これだけのまとまった金額になると、「複数の石材店でそれぞれ見積もりを取って……」と考えたくなりますが、実際はなかなか難しい場合がほとんどです。というのも、民営霊園の場合はほとんどが霊園指定の石材店があり、そこで墓石を購入することになるからです。担当者としっかり話し合い、カタログやサンプル、実際に霊園に建っているお墓を確認しながら見積もりを作り、納得のいくお墓を建てましょう。
また、霊園によっては永代使用料と墓石建立費をセットで受け付けている場合があります。
「一般墓地(1平米あたり)総額200万円」などという表記がある場合、これは永代使用料と墓石建立費を合わせた価格になります。セットになっているので割安という場合もありますが、墓石のデザインや石材、刻むことができる文字数などに制限がある場合がほとんどなので、注意が必要です。これは、霊園全体の印象を統一するためです。特に最近造営された民営霊園で、「日当たりが良くて、見渡す限り一面の……」という印象を受けるものの場合、特にこのセットパックを要求される場合が多いでしょう。

お布施の相場は……「お気持ちで」っていくら?

定価や価格表がないお墓にまつわるお金の中でも、いちばん不透明に見えるのがこの「お布施」でしょう。
お墓を建てるときには、「開眼法要」「納骨法要」などの儀式を行い、お願いした僧職の方にお布施をお渡しします。「開眼法要」とは別名「魂入れ」ということからもわかるように、それまではただの石だった墓石を「お墓」にするための儀式です。また、亡くなって火葬されてから四十九日(神式の場合は五十日。また、火葬のあとすぐに納骨する場合もあります)経った後にお墓にお骨を納めますが、その際の法要を「納骨法要」といいます。
お布施は「法要をお願いしたお坊様へのお礼」ですから、明確な相場はありません。お寺に問い合わせるのもなかなか気が引けますが、意を決して問い合わせてみても「お気持ちで結構です」といわれてしまい、困った……というお話もよく聞きます。さばけているお寺さんの場合は「うちはだいたいこのくらいですよ」と教えてくださる場合もありますが、そこはお寺による、としか言いようがありません。
どうしても、という場合は、石材店の担当者にこっそり聞いてみるのがいいでしょう。特に霊園指定の石材店の場合は、その霊園で建てられているすべてのお墓に関係しているわけですから、細かいところまで把握しているはず。お坊さんに直接聞くよりはハードルは低いですね。

さて、このように「お墓にかかる費用」というのは一見すると目に見えないところがたくさんあることがわかりました。特に墓石建立費用などは、「必要そうなものを積み上げて予算を組み立てる」という形で考えてしまうと、気が付いたら相当な額になっていた、ということになりかねません。そこで、まずはもっとも大きな部分を占める墓地の永代使用料をベースに全体の予算を決め、その枠の中で墓石建立に割り振れる金額を考えていくとよいでしょう。毎年かかってくる年間管理料や、年回忌法要なども含めた大きな枠としてとらえるのもよいかもしれません。