葬儀の流れ

投稿日:

お葬式の実際

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人生の最後を見送る儀式、葬儀。故人の年令や性別、社会的地位、宗教宗派、地域性……さまざまな要素が絡みあう儀式ですから、一つとして同じ葬儀はないといえるでしょう。とはいえ、実際に主催側に回ったことがなければ、どのような経緯で葬儀が行われるかはなかなかわかりにくいもの。ここでは各宗教ごとの代表的な葬儀の流れを追ってみます。

仏教の葬儀

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遺族・親族は、開式10分~15分前には着席して待ちます。

    • ●導師(僧侶)入場

※導師

本来はお坊様の中でも位が高く、他のお坊様の導き手になるような方々をこう呼びます。出家したいという在家信者を導いて得度させるのも導師の仕事。現代では、葬儀の際に儀式を司ってくださるお坊様のことを、尊敬の念を込めてこう呼びます。葬儀の規模によっては、脇導師・役僧と呼ばれるお手伝いのお坊様がいらっしゃることもあります。

    • ●開式の辞(※浄土真宗など宗旨によっては、開式の辞より前に「帰敬式」が行われ、その後開式となります)

※帰敬式
帰敬式とは、本来は仏弟子として帰依するための儀式です。「おかみそり」という別名の通り、剃髪して髪を下ろすことをあらわします。現在、存命の方が受ける帰敬式では剃刀の刃を頭に当てることで剃髪を模すことがほとんどです。「三帰依文」を称え、仏法に帰依することを誓います。三帰依文は、江戸時代末期に成立したもので、『法句』『華厳経』『法華経』の経文の一部を組み合わせたもの。仏法僧に帰依するという三宝帰依の部分は『華厳経』によった文のようです。お釈迦さまから教えられた「法」、法に目覚めた「仏」、その仏の教えられる法を依りどころとする人の集まり=「僧」の3つを「三宝」といい、そのことを大切な宝として生きてることをご本尊の前で確かめるものです。「三宝」=「仏法僧」は仏教において非常に大切なものだとされます。余談ですが「ブッポウソウ」という鳴き声で鳴く、とされて名付けられてた鳥のブッポウソウは実はもっと違う鳴き声で、「ブッポウソウ」と鳴いていたのはフクロウの仲間のコノハズクだった、というお話も。

    • ●導師による読経、引導渡し

※引導
よく「引導を渡す」という言い方がありますが、本来は仏教用語で故人に対して「この世の名残を捨て、来世へ送り出す」言葉を送ることです。
具体的にはまず、故人の生前での生き方や功績などを讃えます。その後、死の事実を認識させ、現世の執着を棄て、悟りの道(仏道)へ進むよう説き、この世から悟りの世界へと導くのです。
後半では、「喝(カツ)」「露(ロ)」などの梵語を使って目が覚めるように激しく悟りを促したり、「咦(イ)」など優しく説いたりします。事実(真実)を語り、故人が自らの死に向き合うための儀式です。

    • ●読経、導師焼香
    • ●喪主焼香(この時は、喪主のみ焼香します。他の遺族・親族は焼香しません)
    • ●弔辞(事前に依頼した方、または申し出のあった方に弔辞を拝読していただきます)
    • ●弔電披露(順番、全文またはご芳名のみ披露など事前に司会者と打ち合わせをします)
    • ●喪主または、遺族代表のあいさつ(会葬者へ謝辞を述べます)
    • ●読経、焼香(再び、読経が勤められます。遺族・親族、続いて会葬者の焼香に移ります。この時、喪主と遺族代表は、焼香台の脇にて立礼をします)

※寺院の指導により立礼をおこなわない場合があります

  • ●導師(僧侶)退席
  • ●閉式の辞

神道の葬儀

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神道でのお葬式は、仏教のものと近いところもありますが、雅楽があるなど雰囲気が違うものです。参列側が特別気をつけなければいけないことがあるわけではないのですが、流れを知っておくとよいでしょう。

  • ●斎主入場

※斎主
斎主とは、仏教式のお葬式における導師にあたる方。つまり、神職=神主様のことです。神事を中心になって行う神職様のことをこう呼びます。仏教での脇導師や役僧と同様に、祭員という補助の神職様がつく場合もあります。雅楽が奏じられる場合は、伶人または楽員と呼ばれる専門の方が参加されます。

  • ●開会の辞
  • ●修祓の儀

斎主が、祭場・参列者・供物などを祓い清める儀式です。お祓いを受ける際は、頭を下げてこれを受けます。

  • ●献饌、奉幣の儀

副斎主が、神饌と供物を供え、楽員が雅楽を奉じます。

●祝詞奉上
斎主が、祭壇前で祝詞を奉上します。祝詞には故人の略歴や人柄などを盛り込み、故人が守護神となり遺族を守るよう祈ります。奉上中、参列者は全員低頭して拝聴します。

  • ●誄詞(るいし)奉上

副斎主が、故人の人徳を偲び故人の足跡を述べ、誄詞を奉上します。

  • ●斎主拝礼

斎主が拝礼し、一同がこれに従って拝礼します。

  • ●弔辞拝受

事前に依頼した方、または申し出のあった方に弔辞を拝読していただきます。

  • ●玉串奉奠

斎主が最初に玉串を捧げ、続いて喪主・遺族・親族と席次に従って玉串を捧げます。この時、二礼・二拍手・一礼を「しのび手」で行います。神社で普通にお参りをする場合は、はっきり音を立てる「柏手」を打ちますが、葬儀の際は音がしないようにそっと打つ「しのび手」を使うのです。

  • ●撤饌、撤幣の儀

副斎主が、供えた神饌と幣はくを下げます。

  • ●斎主退出
  • ●喪主または、遺族代表のあいさつ
  • ●閉式の辞

キリスト教(カトリック)の葬儀

キリスト教には、大きく分けてカトリック、プロテスタント、正教会の3つがあります、正教会にはハリストス正教会、ロシア正教会などの宗派がありますが、日本では信者数が少ないので、日本ではキリスト教といえばカトリックかプロテスタントのどちらかの場合がほとんどです。
仏教では導師、神道では斎主がお葬式を取り仕切ります。これと同じような立場にあたるのがカトリックでは司祭様です。一方、プロテスタントの場合は宗派や教会によってお葬式の儀式はさまざまで、またお坊様、神職様、司祭(神父)様のような存在はいないのも特徴です。プロテスタントにおける「牧師」は、あくまで信者の代表というあつかいになります。
まず、カトリックの一般的な葬儀ミサの様子を見てみましょう。

カトリックの場合は、通夜のつどいのほとんどが斎場か自宅、葬儀ミサは必ず教会で行われます。

  • ●奏楽

棺を祭壇前に移動して安置する入堂式がおこなわれます。

  • ●賛美歌斉唱
  • ●献香

司祭が、棺に聖水を掛ける「撤水」をおこないながら棺と祭壇の周囲を回って香を振りかけます。

  • ●集会祈願
  • ●ことばの典礼
  • 聖書の朗読。詩編や福音書の中で、ふさわしい物を司祭さまが選びます。
  • ●追悼説教
  • ●共同祈願
  • ●感謝の典礼
  • 奉納祈願、主の祈りなどがおこなわれます。
  • ●聖体拝領
  • 司祭が感謝の祈りを捧げ、祭壇前にてパンを拝領します。
  • ●拝領祈願
  • ●告別式
  • 葬儀ミサに引き続きおこなわれます。
  • ●賛美歌斉唱
  • ●司祭のことば
  • 故人の略歴などが紹介されます。
  • ●献香
  • ●祈り
  • ●司祭献花
  • ●弔辞
  • ●弔電披露
  • ●遺族代表あいさつ
  • ●奏楽
  • ●献花(喪主より順番に献花をします参列者献花の時には、喪主と遺族の代表が献花台の脇にて立礼をします。
  • 献花が終わると閉式になります。

    キリスト教(プロテスタント)の葬儀

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    遺族・親族・参列者は、受付にて葬儀式のしおりを受け取り、開式10分~15分前には着席して開式を待ちます。
    しおりには、式の流れや故人の略歴、式中に朗読される聖書の一節、賛美歌などが印刷されています。
    奏楽オルガン演奏の中、牧師が入場して開式します。

  • ●聖書朗読
  • 牧師が聖書を朗読します
  • ●祈祷
  • ●賛美歌斉唱
  • 全員起立して賛美歌を歌います。生前、故人が愛した賛美歌が選ばれます。
  • ●説教
  • 牧師が故人の略歴などを紹介し、故人の信仰のあり方や信心の様子などを通じて、参列者にお話をされます。人生とは何か、信仰とは何か、というお話が多いようです。
  • ●祈祷
  • ●弔辞・弔電紹介
  • ●賛美歌斉唱
  • ●祝祷
  • ●奏楽
  • オルガン演奏。
  • ●遺族代表挨拶
  • 喪主、または遺族の代表者が前に出て挨拶をします。
  • ●献花
  • ●閉式

葬儀の流れ

投稿日:

お葬式の実際

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人生の最後を見送る儀式、葬儀。故人の年令や性別、社会的地位、宗教宗派、地域性……さまざまな要素が絡みあう儀式ですから、一つとして同じ葬儀はないといえるでしょう。とはいえ、実際に主催側に回ったことがなければ、どのような経緯で葬儀が行われるかはなかなかわかりにくいもの。ここでは各宗教ごとの代表的な葬儀の流れを追ってみます。

仏教の葬儀

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遺族・親族は、開式10分~15分前には着席して待ちます。

    • ●導師(僧侶)入場

※導師

本来はお坊様の中でも位が高く、他のお坊様の導き手になるような方々をこう呼びます。出家したいという在家信者を導いて得度させるのも導師の仕事。現代では、葬儀の際に儀式を司ってくださるお坊様のことを、尊敬の念を込めてこう呼びます。葬儀の規模によっては、脇導師・役僧と呼ばれるお手伝いのお坊様がいらっしゃることもあります。

    • ●開式の辞(※浄土真宗など宗旨によっては、開式の辞より前に「帰敬式」が行われ、その後開式となります)

※帰敬式
帰敬式とは、本来は仏弟子として帰依するための儀式です。「おかみそり」という別名の通り、剃髪して髪を下ろすことをあらわします。現在、存命の方が受ける帰敬式では剃刀の刃を頭に当てることで剃髪を模すことがほとんどです。「三帰依文」を称え、仏法に帰依することを誓います。三帰依文は、江戸時代末期に成立したもので、『法句』『華厳経』『法華経』の経文の一部を組み合わせたもの。仏法僧に帰依するという三宝帰依の部分は『華厳経』によった文のようです。お釈迦さまから教えられた「法」、法に目覚めた「仏」、その仏の教えられる法を依りどころとする人の集まり=「僧」の3つを「三宝」といい、そのことを大切な宝として生きてることをご本尊の前で確かめるものです。「三宝」=「仏法僧」は仏教において非常に大切なものだとされます。余談ですが「ブッポウソウ」という鳴き声で鳴く、とされて名付けられてた鳥のブッポウソウは実はもっと違う鳴き声で、「ブッポウソウ」と鳴いていたのはフクロウの仲間のコノハズクだった、というお話も。

    • ●導師による読経、引導渡し

※引導
よく「引導を渡す」という言い方がありますが、本来は仏教用語で故人に対して「この世の名残を捨て、来世へ送り出す」言葉を送ることです。
具体的にはまず、故人の生前での生き方や功績などを讃えます。その後、死の事実を認識させ、現世の執着を棄て、悟りの道(仏道)へ進むよう説き、この世から悟りの世界へと導くのです。
後半では、「喝(カツ)」「露(ロ)」などの梵語を使って目が覚めるように激しく悟りを促したり、「咦(イ)」など優しく説いたりします。事実(真実)を語り、故人が自らの死に向き合うための儀式です。

    • ●読経、導師焼香
    • ●喪主焼香(この時は、喪主のみ焼香します。他の遺族・親族は焼香しません)
    • ●弔辞(事前に依頼した方、または申し出のあった方に弔辞を拝読していただきます)
    • ●弔電披露(順番、全文またはご芳名のみ披露など事前に司会者と打ち合わせをします)
    • ●喪主または、遺族代表のあいさつ(会葬者へ謝辞を述べます)
    • ●読経、焼香(再び、読経が勤められます。遺族・親族、続いて会葬者の焼香に移ります。この時、喪主と遺族代表は、焼香台の脇にて立礼をします)

※寺院の指導により立礼をおこなわない場合があります

  • ●導師(僧侶)退席
  • ●閉式の辞

神道の葬儀

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神道でのお葬式は、仏教のものと近いところもありますが、雅楽があるなど雰囲気が違うものです。参列側が特別気をつけなければいけないことがあるわけではないのですが、流れを知っておくとよいでしょう。

  • ●斎主入場

※斎主
斎主とは、仏教式のお葬式における導師にあたる方。つまり、神職=神主様のことです。神事を中心になって行う神職様のことをこう呼びます。仏教での脇導師や役僧と同様に、祭員という補助の神職様がつく場合もあります。雅楽が奏じられる場合は、伶人または楽員と呼ばれる専門の方が参加されます。

  • ●開会の辞
  • ●修祓の儀

斎主が、祭場・参列者・供物などを祓い清める儀式です。お祓いを受ける際は、頭を下げてこれを受けます。

  • ●献饌、奉幣の儀

副斎主が、神饌と供物を供え、楽員が雅楽を奉じます。

●祝詞奉上
斎主が、祭壇前で祝詞を奉上します。祝詞には故人の略歴や人柄などを盛り込み、故人が守護神となり遺族を守るよう祈ります。奉上中、参列者は全員低頭して拝聴します。

  • ●誄詞(るいし)奉上

副斎主が、故人の人徳を偲び故人の足跡を述べ、誄詞を奉上します。

  • ●斎主拝礼

斎主が拝礼し、一同がこれに従って拝礼します。

  • ●弔辞拝受

事前に依頼した方、または申し出のあった方に弔辞を拝読していただきます。

  • ●玉串奉奠

斎主が最初に玉串を捧げ、続いて喪主・遺族・親族と席次に従って玉串を捧げます。この時、二礼・二拍手・一礼を「しのび手」で行います。神社で普通にお参りをする場合は、はっきり音を立てる「柏手」を打ちますが、葬儀の際は音がしないようにそっと打つ「しのび手」を使うのです。

  • ●撤饌、撤幣の儀

副斎主が、供えた神饌と幣はくを下げます。

  • ●斎主退出
  • ●喪主または、遺族代表のあいさつ
  • ●閉式の辞

キリスト教(カトリック)の葬儀

キリスト教には、大きく分けてカトリック、プロテスタント、正教会の3つがあります、正教会にはハリストス正教会、ロシア正教会などの宗派がありますが、日本では信者数が少ないので、日本ではキリスト教といえばカトリックかプロテスタントのどちらかの場合がほとんどです。
仏教では導師、神道では斎主がお葬式を取り仕切ります。これと同じような立場にあたるのがカトリックでは司祭様です。一方、プロテスタントの場合は宗派や教会によってお葬式の儀式はさまざまで、またお坊様、神職様、司祭(神父)様のような存在はいないのも特徴です。プロテスタントにおける「牧師」は、あくまで信者の代表というあつかいになります。
まず、カトリックの一般的な葬儀ミサの様子を見てみましょう。

カトリックの場合は、通夜のつどいのほとんどが斎場か自宅、葬儀ミサは必ず教会で行われます。

  • ●奏楽

棺を祭壇前に移動して安置する入堂式がおこなわれます。

  • ●賛美歌斉唱
  • ●献香

司祭が、棺に聖水を掛ける「撤水」をおこないながら棺と祭壇の周囲を回って香を振りかけます。

  • ●集会祈願
  • ●ことばの典礼
  • 聖書の朗読。詩編や福音書の中で、ふさわしい物を司祭さまが選びます。
  • ●追悼説教
  • ●共同祈願
  • ●感謝の典礼
  • 奉納祈願、主の祈りなどがおこなわれます。
  • ●聖体拝領
  • 司祭が感謝の祈りを捧げ、祭壇前にてパンを拝領します。
  • ●拝領祈願
  • ●告別式
  • 葬儀ミサに引き続きおこなわれます。
  • ●賛美歌斉唱
  • ●司祭のことば
  • 故人の略歴などが紹介されます。
  • ●献香
  • ●祈り
  • ●司祭献花
  • ●弔辞
  • ●弔電披露
  • ●遺族代表あいさつ
  • ●奏楽
  • ●献花(喪主より順番に献花をします参列者献花の時には、喪主と遺族の代表が献花台の脇にて立礼をします。
  • 献花が終わると閉式になります。

    キリスト教(プロテスタント)の葬儀

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    遺族・親族・参列者は、受付にて葬儀式のしおりを受け取り、開式10分~15分前には着席して開式を待ちます。
    しおりには、式の流れや故人の略歴、式中に朗読される聖書の一節、賛美歌などが印刷されています。
    奏楽オルガン演奏の中、牧師が入場して開式します。

  • ●聖書朗読
  • 牧師が聖書を朗読します
  • ●祈祷
  • ●賛美歌斉唱
  • 全員起立して賛美歌を歌います。生前、故人が愛した賛美歌が選ばれます。
  • ●説教
  • 牧師が故人の略歴などを紹介し、故人の信仰のあり方や信心の様子などを通じて、参列者にお話をされます。人生とは何か、信仰とは何か、というお話が多いようです。
  • ●祈祷
  • ●弔辞・弔電紹介
  • ●賛美歌斉唱
  • ●祝祷
  • ●奏楽
  • オルガン演奏。
  • ●遺族代表挨拶
  • 喪主、または遺族の代表者が前に出て挨拶をします。
  • ●献花
  • ●閉式