お盆の変遷〜「故郷」はどこにあるのか

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今年もお盆が近づいてきました。日本の夏といえば花火に海水浴、スイカにかき氷にお盆……というイメージがありましたが、これはどうも古き良き昭和っぽい感覚ですね。時代の進行とともに風俗は変わっていきます。たとえばかき氷ですが、近年は最新のスイーツとして生まれ変わり(シェイブアイスというそうですね)、味付けもイチゴにメロンではなく洋菓子さながらのものも多いとか。
cf009ad5a7cdb9028e9c1aa7bf4da989_s余談はそこまでにして、お盆の風俗もだんだん変わりつつあるというお話しです。総務省の推計によれば、2005年には日本の人口分布は「三大都市圏:それ以外の地方」が「50:50」を超え、都市への人口集中が顕著になっています。中でも東京圏は全人口の27%を超えるようになりました。これがどういうことを意味するかというと、もともと地方出身だった人々が都市圏に移住し、さらにそこで子供を産み育てることで定着していく。このようなプロセスを経ることで、人口が地方から都市へと恒久的に移動しているのです。
人口の都市への集中にはさまざまな側面があり、多くの影響がありますが、ここではお盆とお墓についてだけお話しましょう。かつてお盆の時期は、都会に出ていた人たちも故郷に家族とともに帰り、親族たちと久しぶりに集まって旧交を温め、そしてお墓にお参りするというパターンがありました。しかしこれも地方に故郷があった時代の話。たとえば東京の市部や千葉、神奈川、埼玉の東京通勤圏に実家があって23区内に住んでいる一家が、お盆のたびに三代前の親戚がいる地方に出かけていくでしょうか。そのお墓の面倒を見るでしょうか。もっと言えば、その地方のお墓に彼らは入るでしょうか? 今、東京都区内でお墓の需要が伸びているのは、このような事情もあってこそのことでしょう。
お盆は迎え火を焚いてあの世からご先祖様が帰ってくるのをお迎えするお祭りでしたが、人々の故郷が変わりつつある現在では、お盆の意味合いも変わってくるのでしょうか。先ほどの総務省の推計では、2050年には都会と地方の人口比率は60:40に近づくとのこと。こうなると、都会の中で完結するお盆や里帰りが一般的になり、夏の風景も変わっていくことでしょう。会社員はお盆の時期に夏休みとして休暇をもらえるわけですが、ベンチャー企業など若い会社はその時期の休暇にこだわらないところも増えてきました。まとめて年末に取得したり、他の月の連休と合わせて一週間休暇にするなど、フレキシブルな運用も増えています。これも、お盆=帰省=お墓参り、というパターンが崩れつつあるからでしょう。
aa9cbdadcad1beb1b40bc24ddbf9859a_sお盆の風習は変わっていくでしょうが、祖先や先に亡くなった家族を思いやる気持ちはなかなか変わるものではありません。これから先、その気持ちをどのような形であらわすようになっていくのか。これからは変化の時代になるのではないでしょうか。お祀りの形、お墓の形、法事法要の形はどんどん変わっていくことでしょう。自分たちが納得できる形で、思いやりを表現できる時代ということもできますね。

お盆の変遷〜「故郷」はどこにあるのか

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今年もお盆が近づいてきました。日本の夏といえば花火に海水浴、スイカにかき氷にお盆……というイメージがありましたが、これはどうも古き良き昭和っぽい感覚ですね。時代の進行とともに風俗は変わっていきます。たとえばかき氷ですが、近年は最新のスイーツとして生まれ変わり(シェイブアイスというそうですね)、味付けもイチゴにメロンではなく洋菓子さながらのものも多いとか。
cf009ad5a7cdb9028e9c1aa7bf4da989_s余談はそこまでにして、お盆の風俗もだんだん変わりつつあるというお話しです。総務省の推計によれば、2005年には日本の人口分布は「三大都市圏:それ以外の地方」が「50:50」を超え、都市への人口集中が顕著になっています。中でも東京圏は全人口の27%を超えるようになりました。これがどういうことを意味するかというと、もともと地方出身だった人々が都市圏に移住し、さらにそこで子供を産み育てることで定着していく。このようなプロセスを経ることで、人口が地方から都市へと恒久的に移動しているのです。
人口の都市への集中にはさまざまな側面があり、多くの影響がありますが、ここではお盆とお墓についてだけお話しましょう。かつてお盆の時期は、都会に出ていた人たちも故郷に家族とともに帰り、親族たちと久しぶりに集まって旧交を温め、そしてお墓にお参りするというパターンがありました。しかしこれも地方に故郷があった時代の話。たとえば東京の市部や千葉、神奈川、埼玉の東京通勤圏に実家があって23区内に住んでいる一家が、お盆のたびに三代前の親戚がいる地方に出かけていくでしょうか。そのお墓の面倒を見るでしょうか。もっと言えば、その地方のお墓に彼らは入るでしょうか? 今、東京都区内でお墓の需要が伸びているのは、このような事情もあってこそのことでしょう。
お盆は迎え火を焚いてあの世からご先祖様が帰ってくるのをお迎えするお祭りでしたが、人々の故郷が変わりつつある現在では、お盆の意味合いも変わってくるのでしょうか。先ほどの総務省の推計では、2050年には都会と地方の人口比率は60:40に近づくとのこと。こうなると、都会の中で完結するお盆や里帰りが一般的になり、夏の風景も変わっていくことでしょう。会社員はお盆の時期に夏休みとして休暇をもらえるわけですが、ベンチャー企業など若い会社はその時期の休暇にこだわらないところも増えてきました。まとめて年末に取得したり、他の月の連休と合わせて一週間休暇にするなど、フレキシブルな運用も増えています。これも、お盆=帰省=お墓参り、というパターンが崩れつつあるからでしょう。
aa9cbdadcad1beb1b40bc24ddbf9859a_sお盆の風習は変わっていくでしょうが、祖先や先に亡くなった家族を思いやる気持ちはなかなか変わるものではありません。これから先、その気持ちをどのような形であらわすようになっていくのか。これからは変化の時代になるのではないでしょうか。お祀りの形、お墓の形、法事法要の形はどんどん変わっていくことでしょう。自分たちが納得できる形で、思いやりを表現できる時代ということもできますね。