霊園と墓地の違い

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19e0d06715a9eb3d323ac8f56ba36540_s霊園と墓地、普段あまり区別をつけて使わない言葉ですが、実際何か違いがあるのでしょうか。
まず堅いところから行きましょう。お墓や埋葬について定めた法律、「墓地、埋葬等に関する法律」にはこう書かれています。

第一章第二条
5  この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。
6  この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。

「墳墓」とは、お墓を意味する法律用語です。書かれている通り、法律的には「墓地」という表現で一般的な、いわゆる「墓場」をすべて表現します。

では、一般的な用法としての霊園と墓地の使い分けというとどうなるでしょうか。ここでは、「寺院墓地とそれ以外」という分け方になるといえます。
お寺は、日本人の生活に深く関与してきました。仏教の伝来ははるかな古代で、当時は貴族や皇族のものでしたが、浄土宗など鎌倉時代以降に生まれた宗派は一般庶民に広く受け入れられました。室町時代から戦国時代にかけては、当時一向宗とも呼ばれた浄土真宗の門徒は強大な勢力を誇り、戦国大名にも匹敵する力を持っていました。江戸時代には、仏教のお寺は今の市役所のような役割を果たし、住民管理も行っていました。またその一方で、お寺は葬儀・埋葬(土葬)・お墓というプロセスをすべて担当していたのです。明治以降、葬儀は自宅や葬儀場で行われ、土葬に代わって広く行われるようになった火葬は公営の火葬場が使われるようになりました。お寺は葬儀にお坊様を派遣し、お墓のお世話をするという関わり方に変化していったのです。

明治時代になると、新政府はお寺を政治機構から切り離していきます。お墓も、お寺が独占している状態から脱することを目指します。東京では青山霊園、多磨霊園、谷中霊園などが東京市によって作られ、特定のお寺との関係を持たない墓地ができます。これが、「霊園」のはじまりです。

現在では、「霊園」として開設されている墓地も、お寺が運営側に携わっている場合があります。従来の寺院墓地との違いは、「檀家」制度の有無です。本来寺院墓地は、檀家としてお寺の運営に関わっている家族だけがお墓を作れるものでした。しかし現在では檀家の数も減り、一方で古い寺院墓地にはすでに無縁になってしまった檀家のお墓も数多くあります。お寺側も、無縁になってしまったお墓を整理した上で敷地を整理し、檀家ではなくても入ることができる霊園を開設するケースが増えているのです。

「霊園」は特定の檀家がなくても入れる、「(寺院)墓地」はお寺としっかり関係を保ちつつお世話になることができる。どちらにも利点がありますから、よく比較検討してみましょう。
 

霊園と墓地の違い

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19e0d06715a9eb3d323ac8f56ba36540_s霊園と墓地、普段あまり区別をつけて使わない言葉ですが、実際何か違いがあるのでしょうか。
まず堅いところから行きましょう。お墓や埋葬について定めた法律、「墓地、埋葬等に関する法律」にはこう書かれています。

第一章第二条
5  この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。
6  この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。

「墳墓」とは、お墓を意味する法律用語です。書かれている通り、法律的には「墓地」という表現で一般的な、いわゆる「墓場」をすべて表現します。

では、一般的な用法としての霊園と墓地の使い分けというとどうなるでしょうか。ここでは、「寺院墓地とそれ以外」という分け方になるといえます。
お寺は、日本人の生活に深く関与してきました。仏教の伝来ははるかな古代で、当時は貴族や皇族のものでしたが、浄土宗など鎌倉時代以降に生まれた宗派は一般庶民に広く受け入れられました。室町時代から戦国時代にかけては、当時一向宗とも呼ばれた浄土真宗の門徒は強大な勢力を誇り、戦国大名にも匹敵する力を持っていました。江戸時代には、仏教のお寺は今の市役所のような役割を果たし、住民管理も行っていました。またその一方で、お寺は葬儀・埋葬(土葬)・お墓というプロセスをすべて担当していたのです。明治以降、葬儀は自宅や葬儀場で行われ、土葬に代わって広く行われるようになった火葬は公営の火葬場が使われるようになりました。お寺は葬儀にお坊様を派遣し、お墓のお世話をするという関わり方に変化していったのです。

明治時代になると、新政府はお寺を政治機構から切り離していきます。お墓も、お寺が独占している状態から脱することを目指します。東京では青山霊園、多磨霊園、谷中霊園などが東京市によって作られ、特定のお寺との関係を持たない墓地ができます。これが、「霊園」のはじまりです。

現在では、「霊園」として開設されている墓地も、お寺が運営側に携わっている場合があります。従来の寺院墓地との違いは、「檀家」制度の有無です。本来寺院墓地は、檀家としてお寺の運営に関わっている家族だけがお墓を作れるものでした。しかし現在では檀家の数も減り、一方で古い寺院墓地にはすでに無縁になってしまった檀家のお墓も数多くあります。お寺側も、無縁になってしまったお墓を整理した上で敷地を整理し、檀家ではなくても入ることができる霊園を開設するケースが増えているのです。

「霊園」は特定の檀家がなくても入れる、「(寺院)墓地」はお寺としっかり関係を保ちつつお世話になることができる。どちらにも利点がありますから、よく比較検討してみましょう。