墓石と大理石

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墓石に使われている石、皆さん何という石だかご存じですか。大理石? 御影石? 花崗岩? ええ、大理石「以外」正解です。高級な石材の代名詞的存在である大理石ですが、実は墓石には向きません。なぜなら大理石は寒暖の差や高温多湿に弱いのです。墓石は一般的に、表面を鏡のように研磨してツルツルに仕上げます。大理石の場合、風雨にさらされるとこの表面の研磨が薄れてしまい、彫り込んだ文字が薄れたり、苔が生える原因になります。石職人さんの間では、大理石は「溶ける」と表現することもあるようです。

ではなぜ、大理石は風雨に弱いのか。それは、石としての成り立ちによるのです。石が生成される過程にはいくつかのパターンがある、と誰でも学校で習います。大理石は、湖や海の底に砂や土が溜まり、長い年月をかけて圧縮されてできる水成岩なのです。ですから岩の内部には水分が含まれており、外から風雨を浴びると徐々にゆるみ、溶けてしまうのです。
日本で一般的に墓石として使われるのは、花崗岩です。花崗岩は、マグマがゆっくり時間をかけて固ま
ってできる火成岩。ですから風雨に強く、屋外に建立される墓石に向いています。御影石とは、花崗岩の石材としての名称のひとつです。もともと兵庫の御影地方(現在の神戸市六甲山付近)が主産地だったことからつけられました。含まれている成分や固まる速度などによって、「白御影」「青御影」「赤御影」「桃色御影」などさまざまな色合いの花崗岩が生まれます。「黒御影」という石もありますが、これは実は花崗岩ではなく、閃緑岩や斑糲岩という石なのです。種類は違いますが、見かけが近いためにこう呼ばれているのですね。
FullSizeRender 9日本は火山国ですから、いってみればそこら中に火山があり、火成岩があります。ではどこからでも切り出してくればよい……というわけでは残念ながらありません。現在、国内で消費されている墓石のうちかなりの割合が海外からの輸入物になっています。主にコスト面もが主因ですが、海外の石には日本のものにはない色合いや風合いのものもあります。決して輸入物だから安かろう悪かろうというものではありません。また、特に近年増えてきた個性的なフォルムの墓石にする場合は、伝統的な日本の御影石よりも海外産の花崗岩の方が合う場合も多いでしょう。たとえばフィンランドから輸入されている「バルチックグリーン」と呼ばれる石は、白地に黒、緑、青の石が混じり、独特の雰囲気があります。インド産の「ニューインペリアルレッド」は、世界でもっとも赤みが強い御影石。他の色味の石と組み合わせたりすることで、デザイン性の高い墓石に向いています。
石材店にはカタログや見本がありますから、よく見て選びましょう。また、機会があれば実際に霊園を見に行ってもいいでしょう。その際は、参拝者、お墓、管理者に失礼のないように気をつけてくださいね。

墓石と大理石

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墓石に使われている石、皆さん何という石だかご存じですか。大理石? 御影石? 花崗岩? ええ、大理石「以外」正解です。高級な石材の代名詞的存在である大理石ですが、実は墓石には向きません。なぜなら大理石は寒暖の差や高温多湿に弱いのです。墓石は一般的に、表面を鏡のように研磨してツルツルに仕上げます。大理石の場合、風雨にさらされるとこの表面の研磨が薄れてしまい、彫り込んだ文字が薄れたり、苔が生える原因になります。石職人さんの間では、大理石は「溶ける」と表現することもあるようです。

ではなぜ、大理石は風雨に弱いのか。それは、石としての成り立ちによるのです。石が生成される過程にはいくつかのパターンがある、と誰でも学校で習います。大理石は、湖や海の底に砂や土が溜まり、長い年月をかけて圧縮されてできる水成岩なのです。ですから岩の内部には水分が含まれており、外から風雨を浴びると徐々にゆるみ、溶けてしまうのです。
日本で一般的に墓石として使われるのは、花崗岩です。花崗岩は、マグマがゆっくり時間をかけて固ま
ってできる火成岩。ですから風雨に強く、屋外に建立される墓石に向いています。御影石とは、花崗岩の石材としての名称のひとつです。もともと兵庫の御影地方(現在の神戸市六甲山付近)が主産地だったことからつけられました。含まれている成分や固まる速度などによって、「白御影」「青御影」「赤御影」「桃色御影」などさまざまな色合いの花崗岩が生まれます。「黒御影」という石もありますが、これは実は花崗岩ではなく、閃緑岩や斑糲岩という石なのです。種類は違いますが、見かけが近いためにこう呼ばれているのですね。
FullSizeRender 9日本は火山国ですから、いってみればそこら中に火山があり、火成岩があります。ではどこからでも切り出してくればよい……というわけでは残念ながらありません。現在、国内で消費されている墓石のうちかなりの割合が海外からの輸入物になっています。主にコスト面もが主因ですが、海外の石には日本のものにはない色合いや風合いのものもあります。決して輸入物だから安かろう悪かろうというものではありません。また、特に近年増えてきた個性的なフォルムの墓石にする場合は、伝統的な日本の御影石よりも海外産の花崗岩の方が合う場合も多いでしょう。たとえばフィンランドから輸入されている「バルチックグリーン」と呼ばれる石は、白地に黒、緑、青の石が混じり、独特の雰囲気があります。インド産の「ニューインペリアルレッド」は、世界でもっとも赤みが強い御影石。他の色味の石と組み合わせたりすることで、デザイン性の高い墓石に向いています。
石材店にはカタログや見本がありますから、よく見て選びましょう。また、機会があれば実際に霊園を見に行ってもいいでしょう。その際は、参拝者、お墓、管理者に失礼のないように気をつけてくださいね。