広がる埋葬方法の選択肢③海洋葬

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「散骨」を埋葬方法にする場合、ほとんど「海洋葬」の形態がとられます。すなわち、海に故人の遺骨を散骨する埋葬方法です。
土地を必要とせず、自然、中でも地球そのものの象徴である海に遺骨を撒くという点は非常に魅力的に映ります。
しかし、海に遺骨を撒くと当然ながら合祀や改葬が不可能となります。樹木葬とも異なり「確実にこの場所に散骨した」という状態にもならないため、最終的には心理面で「お参りをする」という側面が強くなります。
「海洋葬」を選択するにあたり、自分自身の意志だけでなく、残される遺族の希望にも沿うことができるよう、後悔のないようにしっかりと調べることが大切です。
また、散骨そのものが法律に抵触しやすい埋葬法だということはすでに説明した通りですが、意味を返せば、知識やマナー、そしてモラルを守れば正しく故人を見送ることが可能であるということです。
では、「海洋葬」について学んでいきましょう。

海洋葬の流れ

海洋葬はどのように行われるのでしょうか。
まず、一般的な葬儀を行い、ご遺体を火葬し、遺骨を骨壷に納めます。この遺骨は大部分形が残っているので、パウダー状に粉砕する必要があります。業者の中には、この粉骨作業の工程から埋葬プランに組み込んでいる会社もあるようで、費用が含まれているかどうかは各社に確認が必要です(平均価格は3万円ほど)。粉骨はご遺族の自宅か、業者への持ち込みかを選択できます。
埋葬当日はクルーザーに乗り、散骨が許可されている場所まで出ます。喪服ではなく、普段通りの服装で参加します。埋葬場所
遺族や参列者とともにクルーザーに乗って海に出、海上でセレモニーを行ったのちに散骨を行います。その後、散骨場所周辺をクルージングし、故人に想いを馳せ、落ち着いたところで終了となります。埋葬の時に好きな音楽を流したり、散華の際の花を用意してくれるサービスもあるようです

海洋葬の種類と費用

海洋葬の形態は複数ありますが、概ね以下の3種類が挙げられます。おおよその目安の費用とともに順に見ていきましょう。

◇個人散骨

ひとつの家族で船をチャーターし、クルージングして埋葬します。故人との別れの時間をゆっくり過ごすことができます。
費用の目安は30万円ほどです。

◇合同散骨

複数の家族で船をチャーターして埋葬します。タイムスケジュールを柔軟にできにくい分、参加家族の世帯数分散骨の費用負担が軽くなります。
費用の目安は10万円から20万円ほどです。

◇委託散骨

骨壺を業者に託し、他の人の遺骨と一緒に散骨を行ってもらう形態の海洋葬です。
前者ふたつの埋葬方法に比べるとぐっと安価になり、目安は5万円から10万円ほどです。

以上、樹木葬以外の供養法について紹介しました。
いずれも一般的なお墓に弔う方法とは違うため、親族から拒否反応が出る可能性があります。
樹木葬も例外ではありません。

海洋葬のメリットとデメリット

後悔のないように「海洋葬」を選択するために、最後に海洋葬のメリットとデメリットを見てみましょう。
どちらにも共通するのは、法律が定めているガイドラインをしっかりと守ることです。「散骨」そのものは法律に触れるおこないではありませんが、価値観にはまだまだ差が生じているのが現状ですし、少し手順や方法に不足や誤りが生じてしまえば、せっかくのお別れが台無しになってしまいます。
故人が自然、なかでも海がお好きで思い入れが強かったらば、海のなかで眠ることができる「海洋葬」はまさに理想的な埋葬方法です。故人の希望を叶える手立てとして正しく選択することができるように、しっかりとメリットとデメリットを理解する必要があります。

◇海洋葬のメリット

①自然の原点とも言える海に還ることができる。
②墓地や墓石を購入するより安価に供養ができる。
③墓地を継承しない形態のため。死後の管理に関する心配をする必要がない。

◇海洋葬のデメリット

①業者を頼らない場合、散骨場所をしっかり確認しておかなければならない。
②遺骨を粉砕し粉状にしなければ撒くことができないことが法律で決められている。
③墓標がないため、「お墓」としての拠り所がない。

さいごに

「海洋葬」の場合、通常埋葬に比べて、供養の方法にも相当な制限が設けられます。不法投棄や海洋汚染を防ぐため、少量のお酒や花(散華)を供養するのが一般的であるようです。
法律に関してだけでなく、こうした埋葬に関する専門知識が通常以上に必要であることから、海洋葬を選択する場合はしっかりとした専門業者に依頼する方がよいでしょう。近年の海洋葬への関心の高まりから業者の数が増えているそうですが、散骨事業を行う場合、その業者は国土交通省に対し「内航不定期航路事業」の届け出申請を行い、許可を得ている必要があります。遊漁船業者登録のみでは、散骨事業者として認可はされません。もしこの例に該当した場合は違法操業となってしまいます。業者選びは慎重に行ないましょう。
また、散骨を行うタイミングに決まりはありません。
葬儀後に散骨を行う場合は火葬の後に粉骨、そして散骨という流れになり、火葬までは通常の埋葬と同じ流れで葬儀や手続きを行います。
もし埋葬後の遺骨を取り出して散骨する場合は、お墓から遺骨を取り出して砕骨、そして散骨という流れです。遺骨を取り出す手続きは通常の改葬と同じです。市役所で改葬手続きを行い、許可証をもらって墓地から遺骨を取り出します。
散骨は、遺族が納得して行えるタイミングなら、いつ行っても構いません。後悔の内容、しっかり時間をかけて選択してください。焦る必要はないのです。

広がる埋葬方法の選択肢③海洋葬

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「散骨」を埋葬方法にする場合、ほとんど「海洋葬」の形態がとられます。すなわち、海に故人の遺骨を散骨する埋葬方法です。
土地を必要とせず、自然、中でも地球そのものの象徴である海に遺骨を撒くという点は非常に魅力的に映ります。
しかし、海に遺骨を撒くと当然ながら合祀や改葬が不可能となります。樹木葬とも異なり「確実にこの場所に散骨した」という状態にもならないため、最終的には心理面で「お参りをする」という側面が強くなります。
「海洋葬」を選択するにあたり、自分自身の意志だけでなく、残される遺族の希望にも沿うことができるよう、後悔のないようにしっかりと調べることが大切です。
また、散骨そのものが法律に抵触しやすい埋葬法だということはすでに説明した通りですが、意味を返せば、知識やマナー、そしてモラルを守れば正しく故人を見送ることが可能であるということです。
では、「海洋葬」について学んでいきましょう。

海洋葬の流れ

海洋葬はどのように行われるのでしょうか。
まず、一般的な葬儀を行い、ご遺体を火葬し、遺骨を骨壷に納めます。この遺骨は大部分形が残っているので、パウダー状に粉砕する必要があります。業者の中には、この粉骨作業の工程から埋葬プランに組み込んでいる会社もあるようで、費用が含まれているかどうかは各社に確認が必要です(平均価格は3万円ほど)。粉骨はご遺族の自宅か、業者への持ち込みかを選択できます。
埋葬当日はクルーザーに乗り、散骨が許可されている場所まで出ます。喪服ではなく、普段通りの服装で参加します。埋葬場所
遺族や参列者とともにクルーザーに乗って海に出、海上でセレモニーを行ったのちに散骨を行います。その後、散骨場所周辺をクルージングし、故人に想いを馳せ、落ち着いたところで終了となります。埋葬の時に好きな音楽を流したり、散華の際の花を用意してくれるサービスもあるようです

海洋葬の種類と費用

海洋葬の形態は複数ありますが、概ね以下の3種類が挙げられます。おおよその目安の費用とともに順に見ていきましょう。

◇個人散骨

ひとつの家族で船をチャーターし、クルージングして埋葬します。故人との別れの時間をゆっくり過ごすことができます。
費用の目安は30万円ほどです。

◇合同散骨

複数の家族で船をチャーターして埋葬します。タイムスケジュールを柔軟にできにくい分、参加家族の世帯数分散骨の費用負担が軽くなります。
費用の目安は10万円から20万円ほどです。

◇委託散骨

骨壺を業者に託し、他の人の遺骨と一緒に散骨を行ってもらう形態の海洋葬です。
前者ふたつの埋葬方法に比べるとぐっと安価になり、目安は5万円から10万円ほどです。

以上、樹木葬以外の供養法について紹介しました。
いずれも一般的なお墓に弔う方法とは違うため、親族から拒否反応が出る可能性があります。
樹木葬も例外ではありません。

海洋葬のメリットとデメリット

後悔のないように「海洋葬」を選択するために、最後に海洋葬のメリットとデメリットを見てみましょう。
どちらにも共通するのは、法律が定めているガイドラインをしっかりと守ることです。「散骨」そのものは法律に触れるおこないではありませんが、価値観にはまだまだ差が生じているのが現状ですし、少し手順や方法に不足や誤りが生じてしまえば、せっかくのお別れが台無しになってしまいます。
故人が自然、なかでも海がお好きで思い入れが強かったらば、海のなかで眠ることができる「海洋葬」はまさに理想的な埋葬方法です。故人の希望を叶える手立てとして正しく選択することができるように、しっかりとメリットとデメリットを理解する必要があります。

◇海洋葬のメリット

①自然の原点とも言える海に還ることができる。
②墓地や墓石を購入するより安価に供養ができる。
③墓地を継承しない形態のため。死後の管理に関する心配をする必要がない。

◇海洋葬のデメリット

①業者を頼らない場合、散骨場所をしっかり確認しておかなければならない。
②遺骨を粉砕し粉状にしなければ撒くことができないことが法律で決められている。
③墓標がないため、「お墓」としての拠り所がない。

さいごに

「海洋葬」の場合、通常埋葬に比べて、供養の方法にも相当な制限が設けられます。不法投棄や海洋汚染を防ぐため、少量のお酒や花(散華)を供養するのが一般的であるようです。
法律に関してだけでなく、こうした埋葬に関する専門知識が通常以上に必要であることから、海洋葬を選択する場合はしっかりとした専門業者に依頼する方がよいでしょう。近年の海洋葬への関心の高まりから業者の数が増えているそうですが、散骨事業を行う場合、その業者は国土交通省に対し「内航不定期航路事業」の届け出申請を行い、許可を得ている必要があります。遊漁船業者登録のみでは、散骨事業者として認可はされません。もしこの例に該当した場合は違法操業となってしまいます。業者選びは慎重に行ないましょう。
また、散骨を行うタイミングに決まりはありません。
葬儀後に散骨を行う場合は火葬の後に粉骨、そして散骨という流れになり、火葬までは通常の埋葬と同じ流れで葬儀や手続きを行います。
もし埋葬後の遺骨を取り出して散骨する場合は、お墓から遺骨を取り出して砕骨、そして散骨という流れです。遺骨を取り出す手続きは通常の改葬と同じです。市役所で改葬手続きを行い、許可証をもらって墓地から遺骨を取り出します。
散骨は、遺族が納得して行えるタイミングなら、いつ行っても構いません。後悔の内容、しっかり時間をかけて選択してください。焦る必要はないのです。