お墓の引っ越し~改葬とは

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お墓はいつ引っ越す?現代、「改葬」が増えた理由

太平洋戦争が終わって高度経済成長期。日本の産業構造は大きく変わり、地方の若者たちは労働力として大きな期待を受け、東京などの大都市圏に移住していきました。「金の卵」と呼ばれた彼らはその後も都市圏に定住し、日本の人口構造は農村中心から都市中心へと大きく移り変わっていったのです。

……いきなり近現代史の授業みたいになってしまい恐縮ですが、今回はお墓の引っ越しのお話。先ほど述べた「金の卵」世代以降も、地方から都市への人口流出は続いています。これにはさまざまな問題がありますが、ここで取り上げる「お墓」についていえば、「地方に残ったお墓の面倒を誰が見るのか」ということです。
人口の大きな移動がなかった時代は、多くの人が先祖代々の墓の近くで生まれ、墓を守り、そして亡くなるとそのお墓に葬られてきました。しかし現代では、この前提は崩れています。
「金の卵」世代は一家の次男、三男が就職のために都会に出てきていましたが、その後は長男や長女でも進学や就職のために故郷を離れることが当たり前になりました。それでも地方から都会に移住してきた人々がまだ若く現役世代であれば、行き来するのは大変ですが、地元のお墓を守ることはできます。しかし都会で生まれ育つことになる彼らの子供、孫世代―いわゆる「団塊ジュニア世代」以降の世代ですね―が、本人たちに強い思い入れがない「親の故郷」のお墓を守っていくのは、あまり現実的ではない。そこで、お墓の引っ越し「改葬」が、話題に上ってくるのです。

改葬に必要な手続きとは

改葬のためには、現在お墓がある地方自治体の役所で手続きをしなければいけません。そのためには、まず引っ越し先のお墓を準備する必要があります。引っ越し前のお墓に収められている遺骨をすべて収められるスペースがあるかどうか、引っ越し先が寺院墓地の場合は、元と同じ宗派のお墓が建てられるかどうかも確認しましょう。準備ができたら、「永代使用許可証」「受け入れ証明書」を発行してもらいます。
引っ越し先のお墓を確保できたら、お墓を引き払う準備を始めます。元のお墓の管理者にお願いして、改葬のために必要な「埋葬証明書」に記入してもらいましょう。用紙は引っ越し元のお墓がある市町村役場でもらえます。必要な書類はこの他に「改葬許可申請書」などがありますが、一式もらっておくと手間が省けます。書類は自治体によって異なりますので、お問い合わせください。
ここで注意が必要なのは、「改葬によってお墓を移してしまうことは、元の墓地の管理側にとってはマイナスである」ということです。特に元の墓地が寺院墓地だった場合は、檀家が減ってしまうことになります。これはお寺の側としては望ましくないことです。「なぜ改葬するのか」「檀家から抜けることへのお詫び」「これまでお墓をみてくださったことへの感謝」をしっかりお伝えしましょう。元の墓地を狩りしてくださっていた方への気遣いという意味では、いきなり「改葬したい」と告げるのではなく、おだやかに「改葬を考えているのですが」と相談するかたちにした方がよいかもしれません。

kaisou埋葬証明書に記入してもらったら、改葬許可申請書に必要事項を書き込みます。引っ越し元と引っ越し先の墓地の所在地、葬られている方の本籍・住所・氏名・性別、申請者との続柄、改葬の理由などを記入する必要があります。昔の親族で本籍や住所がわからない場合は、「不詳」としてもよいようです。書式は自治体ごとに異なりますので、用紙の手配などは役所に問い合わせましょう。

記入した改葬許可申請書、引っ越し先の墓地の受け入れ証明書、引っ越し元の墓地の埋葬証明書をそろえて、引っ越し元の墓地がある市町村役場に提出しましょう。すると、改葬許可証が交付されます。これを引っ越し先の墓地の管理者に渡すことで、書類上の手続きは完了です。
この後は、引っ越し元の墓地で御魂抜きや閉眼法要を行い、ご遺骨を取り出します。管理者と相談して墓石や付属物を撤去し、更地に戻せば転出完了。あとは引っ越し先の墓地で開眼法要を行って納骨すれば、改葬はすべて完了です。

改葬に必要な書類と費用についてまとめておきましょう。それぞれ、自治体や墓地によって異なる場合がありますので、「引っ越し元の墓地・引っ越し先の墓地・引っ越し元の自治体・引っ越し先の自治体」のそれぞれに確認をしておきましょう。

改葬に必要な書類

  • 引っ越し先の墓地にかかわるもの
    • 永代使用許可証
    • 受け入れ証明書
  • 引っ越し元の墓地にかかわるもの
    • 埋葬証明書
    • 改葬許可申請書
    • 改葬許可証
    • 埋葬されている方の戸籍謄本

※死亡された方の本籍、住所などを確認する際に必要になる場合があります。

改葬に必要な費用

  • 引っ越し先の墓地にかかわるもの
    • 墓地永代使用料
    • 墓地管理料
    • 墓石建立費用
    • 開眼法要

※それぞれ、新たに墓地を購入する場合と同じです。

  • 引っ越し元の墓地にかかわるもの
    • 改葬事務手続きの費用(※自治体によって異なります。)
    • 墓石の撤去・処分にかかる費用
    • 墓地を更地にする費用
    • 閉眼・御魂抜き法要

改葬の実際

さて、ここまで改葬の手続きについてみてきましたが、新旧二つの墓地とのやりとりと手続きが発生する、非常に手間のかかる作業だということがわかります。引っ越し元の墓地での遺骨の取り出し、墓石や付属物の撤去、墓地の整地などの作業、引っ越し先の墓地での墓石の建立や納骨などにはそれぞれの墓地を管理する石材店が深くかかわります。また、法要などについても石材店に相談することでスムーズに進む場合がほとんどです。
自治体の役所での手続きは自分で行わなければなりませんが、その他のことはまずは石材店に相談を持ちかけるのが一番です。寺院墓地でも指定の石材店がいる場合が多いですから、お寺との折衝でも力になってくれるはず。改葬のような手間のかかることこそ、お墓のエキスパートである石材店と二人三脚で行いましょう。

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お墓の引っ越し~改葬とは

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お墓はいつ引っ越す?現代、「改葬」が増えた理由

太平洋戦争が終わって高度経済成長期。日本の産業構造は大きく変わり、地方の若者たちは労働力として大きな期待を受け、東京などの大都市圏に移住していきました。「金の卵」と呼ばれた彼らはその後も都市圏に定住し、日本の人口構造は農村中心から都市中心へと大きく移り変わっていったのです。

……いきなり近現代史の授業みたいになってしまい恐縮ですが、今回はお墓の引っ越しのお話。先ほど述べた「金の卵」世代以降も、地方から都市への人口流出は続いています。これにはさまざまな問題がありますが、ここで取り上げる「お墓」についていえば、「地方に残ったお墓の面倒を誰が見るのか」ということです。
人口の大きな移動がなかった時代は、多くの人が先祖代々の墓の近くで生まれ、墓を守り、そして亡くなるとそのお墓に葬られてきました。しかし現代では、この前提は崩れています。
「金の卵」世代は一家の次男、三男が就職のために都会に出てきていましたが、その後は長男や長女でも進学や就職のために故郷を離れることが当たり前になりました。それでも地方から都会に移住してきた人々がまだ若く現役世代であれば、行き来するのは大変ですが、地元のお墓を守ることはできます。しかし都会で生まれ育つことになる彼らの子供、孫世代―いわゆる「団塊ジュニア世代」以降の世代ですね―が、本人たちに強い思い入れがない「親の故郷」のお墓を守っていくのは、あまり現実的ではない。そこで、お墓の引っ越し「改葬」が、話題に上ってくるのです。

改葬に必要な手続きとは

改葬のためには、現在お墓がある地方自治体の役所で手続きをしなければいけません。そのためには、まず引っ越し先のお墓を準備する必要があります。引っ越し前のお墓に収められている遺骨をすべて収められるスペースがあるかどうか、引っ越し先が寺院墓地の場合は、元と同じ宗派のお墓が建てられるかどうかも確認しましょう。準備ができたら、「永代使用許可証」「受け入れ証明書」を発行してもらいます。
引っ越し先のお墓を確保できたら、お墓を引き払う準備を始めます。元のお墓の管理者にお願いして、改葬のために必要な「埋葬証明書」に記入してもらいましょう。用紙は引っ越し元のお墓がある市町村役場でもらえます。必要な書類はこの他に「改葬許可申請書」などがありますが、一式もらっておくと手間が省けます。書類は自治体によって異なりますので、お問い合わせください。
ここで注意が必要なのは、「改葬によってお墓を移してしまうことは、元の墓地の管理側にとってはマイナスである」ということです。特に元の墓地が寺院墓地だった場合は、檀家が減ってしまうことになります。これはお寺の側としては望ましくないことです。「なぜ改葬するのか」「檀家から抜けることへのお詫び」「これまでお墓をみてくださったことへの感謝」をしっかりお伝えしましょう。元の墓地を狩りしてくださっていた方への気遣いという意味では、いきなり「改葬したい」と告げるのではなく、おだやかに「改葬を考えているのですが」と相談するかたちにした方がよいかもしれません。

kaisou埋葬証明書に記入してもらったら、改葬許可申請書に必要事項を書き込みます。引っ越し元と引っ越し先の墓地の所在地、葬られている方の本籍・住所・氏名・性別、申請者との続柄、改葬の理由などを記入する必要があります。昔の親族で本籍や住所がわからない場合は、「不詳」としてもよいようです。書式は自治体ごとに異なりますので、用紙の手配などは役所に問い合わせましょう。

記入した改葬許可申請書、引っ越し先の墓地の受け入れ証明書、引っ越し元の墓地の埋葬証明書をそろえて、引っ越し元の墓地がある市町村役場に提出しましょう。すると、改葬許可証が交付されます。これを引っ越し先の墓地の管理者に渡すことで、書類上の手続きは完了です。
この後は、引っ越し元の墓地で御魂抜きや閉眼法要を行い、ご遺骨を取り出します。管理者と相談して墓石や付属物を撤去し、更地に戻せば転出完了。あとは引っ越し先の墓地で開眼法要を行って納骨すれば、改葬はすべて完了です。

改葬に必要な書類と費用についてまとめておきましょう。それぞれ、自治体や墓地によって異なる場合がありますので、「引っ越し元の墓地・引っ越し先の墓地・引っ越し元の自治体・引っ越し先の自治体」のそれぞれに確認をしておきましょう。

改葬に必要な書類

  • 引っ越し先の墓地にかかわるもの
    • 永代使用許可証
    • 受け入れ証明書
  • 引っ越し元の墓地にかかわるもの
    • 埋葬証明書
    • 改葬許可申請書
    • 改葬許可証
    • 埋葬されている方の戸籍謄本

※死亡された方の本籍、住所などを確認する際に必要になる場合があります。

改葬に必要な費用

  • 引っ越し先の墓地にかかわるもの
    • 墓地永代使用料
    • 墓地管理料
    • 墓石建立費用
    • 開眼法要

※それぞれ、新たに墓地を購入する場合と同じです。

  • 引っ越し元の墓地にかかわるもの
    • 改葬事務手続きの費用(※自治体によって異なります。)
    • 墓石の撤去・処分にかかる費用
    • 墓地を更地にする費用
    • 閉眼・御魂抜き法要

改葬の実際

さて、ここまで改葬の手続きについてみてきましたが、新旧二つの墓地とのやりとりと手続きが発生する、非常に手間のかかる作業だということがわかります。引っ越し元の墓地での遺骨の取り出し、墓石や付属物の撤去、墓地の整地などの作業、引っ越し先の墓地での墓石の建立や納骨などにはそれぞれの墓地を管理する石材店が深くかかわります。また、法要などについても石材店に相談することでスムーズに進む場合がほとんどです。
自治体の役所での手続きは自分で行わなければなりませんが、その他のことはまずは石材店に相談を持ちかけるのが一番です。寺院墓地でも指定の石材店がいる場合が多いですから、お寺との折衝でも力になってくれるはず。改葬のような手間のかかることこそ、お墓のエキスパートである石材店と二人三脚で行いましょう。

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