お墓の補修

投稿日:

墓石の補修にはどういうものがあるか

stone_00016お墓は硬い石でできているから、建てればメンテナンスフリー……残念ながら、そういうわけにはいきません。もちろんしっかりした石材を使っていますから建立後すぐに修繕が必要になることはありませんが、長年風雨にさらされるとどうしても石材は劣化してしまいます。また、地震があれば墓石はひずみ、傾いてしまうこともあります。劣化が進むと、見た目はもちろんですが安全性にも問題が出てきます。

お墓を修理する場合、もっとも多いケースは石と石の間に隙間ができてしまった場合です。石と石の間はセメント系の接着剤で埋めていますが、以前よく使われていたものは10年ほどで劣化してしまい、剥離して隙間ができてしまいます。こうしてできた目地の隙間を埋める作業が必要なのです。現在、このような補修作業に使用される接着剤で主流になっているのがシリコン系のコーキング剤。セメント系に比べて耐久性・耐候性に優れており、さらに柔軟性もあるので耐震性・耐衝撃性も高いという特徴があります。
目地の隙間は接着剤の劣化だけでなく、霊園の地面の傾きや地震などの衝撃で起きる場合もあります。隙間を放置しておくとそこに雨水がたまり、カビや苔が生えたり石にシミができるなど悪影響が出てしまいます。

目地の隙間だけではなく、墓石自体が大きくずれてしまう場合もあります。この場合は、石材店に依頼して墓石の組み直しが必要になります。まず、ずれてしまった部分の石材を取り外し、接合面を研磨してきれいに均します。それから再度コーキング剤を塗布して、接合します。
墓石のずれの原因には、霊園の土が水分を含んで膨張してしまったり、地盤が軟弱だったために傾いてしまうなど、土壌に問題がある場合が多くを占めます。こうなると、墓石だけを調整してもいずれ再発してしまいますから、根本的な対処が必要です。まずお墓を解体し、新たに土を入れて突き固めたり、余分な土を除去するなど土壌の改良作業を行います。そのあとで、墓石を搬入して再度組み上げるのです。またやっかいなのが、霊園内の樹木の根が地下から伸びて墓石や外柵などを押し上げている場合。これも墓石を解体して対処することが必要ですし、木のほうも場合によっては伐採まで考えなければいけません。こうなると霊園全体にも影響が出ますから、霊園を管理している業者とも綿密に打ち合わせをする必要がありますね。

墓石に使う花崗岩(御影石)は風雨に強く頑丈ですが、経年劣化のために欠けたり、ひびが入ってしまうこともあります。放っておくとそこから水分が入り、ひびがひどくなったり痛みが激しくなっていきます。この場合は、専用のパテで補修します。御影石の色に合わせた塗料を塗るので、建物や道路のひびのように補修部分が目立つことはあまりありません。とはいえ、風雨にさらされるものですからその後パテがはがれてしまう場合もあります。根本的な対策としては、やはり墓石の交換がおすすめです。風雨や気温の変化に強い材質もありますから、石材店にご相談ください。
また、最近の墓石には保証がついている場合も増えています。5年、または10年以内の破損やひびは無償で修理を行う、というものです。多くの場合は自然に破損が起こった場合が対象で、災害や故意による破損では保証が適応されない場合があります。建立時の契約書や注意事項をご確認ください。

地震で壊れた墓石、どうすれば?

41e6374814fb12f4ce9fc4acd6884259_s1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災など、日本は世界有数の地震国です。大きな地震があれば、人が住んでいる建築物はもちろん、石を組んだ構造物であるお墓にも大きな被害が出ます。
地震被害を報じるニュース番組で、墓石が倒れたり折れてしまっている霊園の様子が映されているのを見たことがあるでしょう。あのお墓の修理は、いったい誰が費用を負担するのか……? 答えは、お墓を持っている本人です。残念ながら、基本的に前項の補償の対象にはなりません。壊れた墓石の撤去費用、新しい墓石の建立費用など、かなりの費用になってしまいますが、放置すれば周りのお墓を持っている方にも迷惑がかかってしまいますから、可能な限り早く修繕する必要があります。先年の東日本大震災では、全国各地から石材店のスタッフが現地に入り、倒れた墓石を起こしたり、外に出てしまった遺骨をお墓に戻すなど、ボランティアとして活動されました。
ここ最近では、墓石用の地震保険や天災に対する補償サービスも登場してきました。建立時の補償とは別になりますが、いざというときのために加入を考えてみてもいいのではないでしょうか。家屋や住宅用の保険で地震をカバーするものは増えていますが、これも補償の対象は住居と家財のみ。お墓は適用外です。

修繕にはどれくらいの費用がかかる?

目地を埋める補修だけであれば、数千円から5万円程度というのが目安になります。墓石がズレてしまった場合の修復は、竿石だけなら1万円ほど、台石からズレていた場合は5万円ほどです。墓石全体の組み直しが発生する作業になると、30万円は見なければいけないでしょう。土地の改修まで手をつけなければいけない場合は、100万円台の予算が必要になってきます。
また、最近多い需要としては耐震加工があります。竿石の加工で1万円ほど、台石からすべて加工すると5万円~7万円ほどでしょうか。また、和型三段墓よりも洋型墓石のほうが形状から揺れに強いため、洋型墓石への建て替え需要もあります。これは石材店次第ですが、通常よりも安い価格で建て替えを請け負っている場合もあるようです。

お墓に補修が必要になるケースはさまざまな原因や事情がありますが、まず「お墓は亡くなった方を祀る、第二の住居」だということを考えてあげてください。たとえば一戸建てのご自宅の門柱や柵が壊れていたら、実際の住み心地に影響がなくても修理しなければ、とお思いになるでしょう。マンションの場合でも同じです。お墓も、傷や汚れがあれば、それはお墓にお住まいの方の玄関や表札が汚れているのと同じこと。手間や費用はかかってしまいますが、お手入れをして気持ちよくお参りできるように、お考えください。

※ここで取り上げた価格はあくまで一例で、さまざまな条件によって必要な費用は上下します。必ず、霊園や石材店に問い合わせてください。

お墓の補修

投稿日:

墓石の補修にはどういうものがあるか

stone_00016お墓は硬い石でできているから、建てればメンテナンスフリー……残念ながら、そういうわけにはいきません。もちろんしっかりした石材を使っていますから建立後すぐに修繕が必要になることはありませんが、長年風雨にさらされるとどうしても石材は劣化してしまいます。また、地震があれば墓石はひずみ、傾いてしまうこともあります。劣化が進むと、見た目はもちろんですが安全性にも問題が出てきます。

お墓を修理する場合、もっとも多いケースは石と石の間に隙間ができてしまった場合です。石と石の間はセメント系の接着剤で埋めていますが、以前よく使われていたものは10年ほどで劣化してしまい、剥離して隙間ができてしまいます。こうしてできた目地の隙間を埋める作業が必要なのです。現在、このような補修作業に使用される接着剤で主流になっているのがシリコン系のコーキング剤。セメント系に比べて耐久性・耐候性に優れており、さらに柔軟性もあるので耐震性・耐衝撃性も高いという特徴があります。
目地の隙間は接着剤の劣化だけでなく、霊園の地面の傾きや地震などの衝撃で起きる場合もあります。隙間を放置しておくとそこに雨水がたまり、カビや苔が生えたり石にシミができるなど悪影響が出てしまいます。

目地の隙間だけではなく、墓石自体が大きくずれてしまう場合もあります。この場合は、石材店に依頼して墓石の組み直しが必要になります。まず、ずれてしまった部分の石材を取り外し、接合面を研磨してきれいに均します。それから再度コーキング剤を塗布して、接合します。
墓石のずれの原因には、霊園の土が水分を含んで膨張してしまったり、地盤が軟弱だったために傾いてしまうなど、土壌に問題がある場合が多くを占めます。こうなると、墓石だけを調整してもいずれ再発してしまいますから、根本的な対処が必要です。まずお墓を解体し、新たに土を入れて突き固めたり、余分な土を除去するなど土壌の改良作業を行います。そのあとで、墓石を搬入して再度組み上げるのです。またやっかいなのが、霊園内の樹木の根が地下から伸びて墓石や外柵などを押し上げている場合。これも墓石を解体して対処することが必要ですし、木のほうも場合によっては伐採まで考えなければいけません。こうなると霊園全体にも影響が出ますから、霊園を管理している業者とも綿密に打ち合わせをする必要がありますね。

墓石に使う花崗岩(御影石)は風雨に強く頑丈ですが、経年劣化のために欠けたり、ひびが入ってしまうこともあります。放っておくとそこから水分が入り、ひびがひどくなったり痛みが激しくなっていきます。この場合は、専用のパテで補修します。御影石の色に合わせた塗料を塗るので、建物や道路のひびのように補修部分が目立つことはあまりありません。とはいえ、風雨にさらされるものですからその後パテがはがれてしまう場合もあります。根本的な対策としては、やはり墓石の交換がおすすめです。風雨や気温の変化に強い材質もありますから、石材店にご相談ください。
また、最近の墓石には保証がついている場合も増えています。5年、または10年以内の破損やひびは無償で修理を行う、というものです。多くの場合は自然に破損が起こった場合が対象で、災害や故意による破損では保証が適応されない場合があります。建立時の契約書や注意事項をご確認ください。

地震で壊れた墓石、どうすれば?

41e6374814fb12f4ce9fc4acd6884259_s1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災など、日本は世界有数の地震国です。大きな地震があれば、人が住んでいる建築物はもちろん、石を組んだ構造物であるお墓にも大きな被害が出ます。
地震被害を報じるニュース番組で、墓石が倒れたり折れてしまっている霊園の様子が映されているのを見たことがあるでしょう。あのお墓の修理は、いったい誰が費用を負担するのか……? 答えは、お墓を持っている本人です。残念ながら、基本的に前項の補償の対象にはなりません。壊れた墓石の撤去費用、新しい墓石の建立費用など、かなりの費用になってしまいますが、放置すれば周りのお墓を持っている方にも迷惑がかかってしまいますから、可能な限り早く修繕する必要があります。先年の東日本大震災では、全国各地から石材店のスタッフが現地に入り、倒れた墓石を起こしたり、外に出てしまった遺骨をお墓に戻すなど、ボランティアとして活動されました。
ここ最近では、墓石用の地震保険や天災に対する補償サービスも登場してきました。建立時の補償とは別になりますが、いざというときのために加入を考えてみてもいいのではないでしょうか。家屋や住宅用の保険で地震をカバーするものは増えていますが、これも補償の対象は住居と家財のみ。お墓は適用外です。

修繕にはどれくらいの費用がかかる?

目地を埋める補修だけであれば、数千円から5万円程度というのが目安になります。墓石がズレてしまった場合の修復は、竿石だけなら1万円ほど、台石からズレていた場合は5万円ほどです。墓石全体の組み直しが発生する作業になると、30万円は見なければいけないでしょう。土地の改修まで手をつけなければいけない場合は、100万円台の予算が必要になってきます。
また、最近多い需要としては耐震加工があります。竿石の加工で1万円ほど、台石からすべて加工すると5万円~7万円ほどでしょうか。また、和型三段墓よりも洋型墓石のほうが形状から揺れに強いため、洋型墓石への建て替え需要もあります。これは石材店次第ですが、通常よりも安い価格で建て替えを請け負っている場合もあるようです。

お墓に補修が必要になるケースはさまざまな原因や事情がありますが、まず「お墓は亡くなった方を祀る、第二の住居」だということを考えてあげてください。たとえば一戸建てのご自宅の門柱や柵が壊れていたら、実際の住み心地に影響がなくても修理しなければ、とお思いになるでしょう。マンションの場合でも同じです。お墓も、傷や汚れがあれば、それはお墓にお住まいの方の玄関や表札が汚れているのと同じこと。手間や費用はかかってしまいますが、お手入れをして気持ちよくお参りできるように、お考えください。

※ここで取り上げた価格はあくまで一例で、さまざまな条件によって必要な費用は上下します。必ず、霊園や石材店に問い合わせてください。