お盆と供物のお話

投稿日:

この記事をみなさんがお読みになっている頃には、もう夏休みも終わっていることでしょう。
さて、今年のお盆はどうだったでしょうか? 家族が揃う一年でも数少ない時期、お墓のことを考える方も多かったのではないでしょうか。
お盆というと、漠然と、お墓参りや亡くなった方のことを考えるタイミングのように思われていることが多いと思います。お盆のことを、少し詳しく学んでみましょう。

お盆の時期っていつ?


実は、お盆の時期は複数存在します。有名なものは7月盆・8月盆・旧暦盆と呼称されています。
明治5年12月3日をもって、明治政府によって改暦が施行され、グレゴリオ暦が適用されるようになりました。現在に至るまで使用されている、いわゆる新暦です。布告からわずか1ヶ月での施行という慌ただしいスケジュールの中での改暦でした。
7月盆は東京や神奈川県、北海道の一部、石川県金沢市などの都市が主流としています。前述の通り、いわば「無理矢理」改暦に踏み切った明治政府がなんとか新暦を徹底させようとしたため、政府に近い都道府県が対応したことが下地にあると言われています。
一方、8月盆は北海道の広い地域や東北、新潟県、長野県、関西地方に多くみられ、別名「月遅れ盆」と呼称されています。全国的に多くみられるお盆の日程です。都市部から離れた地域には新暦が浸透しにくかったこと、農村の繁忙期と重複するため浸透しにくかったことなどが要因と考えられます。
旧暦盆が根強く生き残っているのは沖縄です。沖縄は多くの年中行事を旧暦にのっとって行なっており、特にお盆は「シチグヮチ」と言われている大切な行事です。家族のつながりを重要視する沖縄ならでです。その年によって時期が異なり、9月に入ってから行われる年もあるようです。

お盆の供物・精霊馬と精霊牛


お盆に必要なもの・コトは多数ありますが、中でもよく知られているのは精霊馬(しょうりょううま)精霊牛(しょうりょううし)です。
お盆のお供え物のひとつで、使うものは前者はキュウリ、後者はナスと決まっています。それぞれに「脚」を模した割り箸などをさして動物に仕立てます。
それぞれご先祖様の魂=精霊を乗せる乗り物とされています。馬は、ご先祖様が早く帰って来られるように、牛はゆっくりあの世に帰って欲しいという願いが込められていると言われていますが、地域によっては逆の意味としているところもあったり、精霊馬自体を飾らない地域もあるようです。
また、牛には、たくさんの供物を乗せて持って帰ってもらうという意味もあるといいます。
ふたつとも旬が盛りの夏野菜。供物の中で一番手に入りやすいものであったことから浸透したと言われています。収穫祭としての性格づけもあったようです。

お盆だけでなく、ご先祖を大切に

カレンダーに「お盆」の記載がないことが多いのは、地域ごとに時期が異なるためです。時代の制約的な要素もあれば、地域の行事として無理のない時期が選ばれていることもあり、何月何日という明確な縛りはほとんどないのです。
「お盆」は、忙しい日常生活に追われている我々がご先祖様のことを思い返すことができる数少ないタイミングです。仕事やプライベートの予定を書き込むためのスケジュール帳やカレンダーアプリに、自分の出身地や住んでいる地域の「お盆」を書き込んでみる。それも、ご先祖様に思いを馳せる方法のひとつです。

お盆と供物のお話

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この記事をみなさんがお読みになっている頃には、もう夏休みも終わっていることでしょう。
さて、今年のお盆はどうだったでしょうか? 家族が揃う一年でも数少ない時期、お墓のことを考える方も多かったのではないでしょうか。
お盆というと、漠然と、お墓参りや亡くなった方のことを考えるタイミングのように思われていることが多いと思います。お盆のことを、少し詳しく学んでみましょう。

お盆の時期っていつ?


実は、お盆の時期は複数存在します。有名なものは7月盆・8月盆・旧暦盆と呼称されています。
明治5年12月3日をもって、明治政府によって改暦が施行され、グレゴリオ暦が適用されるようになりました。現在に至るまで使用されている、いわゆる新暦です。布告からわずか1ヶ月での施行という慌ただしいスケジュールの中での改暦でした。
7月盆は東京や神奈川県、北海道の一部、石川県金沢市などの都市が主流としています。前述の通り、いわば「無理矢理」改暦に踏み切った明治政府がなんとか新暦を徹底させようとしたため、政府に近い都道府県が対応したことが下地にあると言われています。
一方、8月盆は北海道の広い地域や東北、新潟県、長野県、関西地方に多くみられ、別名「月遅れ盆」と呼称されています。全国的に多くみられるお盆の日程です。都市部から離れた地域には新暦が浸透しにくかったこと、農村の繁忙期と重複するため浸透しにくかったことなどが要因と考えられます。
旧暦盆が根強く生き残っているのは沖縄です。沖縄は多くの年中行事を旧暦にのっとって行なっており、特にお盆は「シチグヮチ」と言われている大切な行事です。家族のつながりを重要視する沖縄ならでです。その年によって時期が異なり、9月に入ってから行われる年もあるようです。

お盆の供物・精霊馬と精霊牛


お盆に必要なもの・コトは多数ありますが、中でもよく知られているのは精霊馬(しょうりょううま)精霊牛(しょうりょううし)です。
お盆のお供え物のひとつで、使うものは前者はキュウリ、後者はナスと決まっています。それぞれに「脚」を模した割り箸などをさして動物に仕立てます。
それぞれご先祖様の魂=精霊を乗せる乗り物とされています。馬は、ご先祖様が早く帰って来られるように、牛はゆっくりあの世に帰って欲しいという願いが込められていると言われていますが、地域によっては逆の意味としているところもあったり、精霊馬自体を飾らない地域もあるようです。
また、牛には、たくさんの供物を乗せて持って帰ってもらうという意味もあるといいます。
ふたつとも旬が盛りの夏野菜。供物の中で一番手に入りやすいものであったことから浸透したと言われています。収穫祭としての性格づけもあったようです。

お盆だけでなく、ご先祖を大切に

カレンダーに「お盆」の記載がないことが多いのは、地域ごとに時期が異なるためです。時代の制約的な要素もあれば、地域の行事として無理のない時期が選ばれていることもあり、何月何日という明確な縛りはほとんどないのです。
「お盆」は、忙しい日常生活に追われている我々がご先祖様のことを思い返すことができる数少ないタイミングです。仕事やプライベートの予定を書き込むためのスケジュール帳やカレンダーアプリに、自分の出身地や住んでいる地域の「お盆」を書き込んでみる。それも、ご先祖様に思いを馳せる方法のひとつです。