三回忌の意義とお香典

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三回忌法要を行う意味

古くからの習慣には、現代を生きる我々にはなかなか意味が取りにくいものもたくさんあります。三回忌もそのひとつ。法要を行って故人を偲ぶというのはもちろんですが、なぜ亡くなって二年目の祥月命日が三回忌なのか?というのはなかなかご存知でない方も多いでしょう。二年目が三回忌、六年目が七回忌と、以降一年ずつズレながら数えていきます。

なぜこうなるかというと、いわゆる「数え年」の概念によるのです。
現在一般的な年齢の数え方は「満年齢」。これは、人はゼロ歳で生まれ、一年後の誕生日には一歳になる、という数え方です。対して数え年の場合は、生まれた赤ん坊はまず一歳からカウントスタート。次にお正月が来ると二歳になり、その後お正月を迎えるたびに歳を重ねていく、という数え方です。日本でも以前はこの数え方が一般的でした。この考え方を回忌法要に適用すると、故人が亡くなった日が一回忌、一年目が二回忌、二年目が三回忌となりますから、「三回忌の謎」は解けた格好になります。これでよし……とはいきませんね、では一年目に行う一周忌はどうなるのか。これは、「回忌法要と一周忌は数え方が違う」というのが答えです。回忌法要は先ほど触れたように数え年でカウントしていきますが、一周忌は回忌法要は別で、独立して「亡くなられてから一年後の祥月命日」に行う法要です。「回忌」と「周忌」で表記が違うところにご注目ください。同じように祥月命日に行う法要ですが、由来や数え方が違うのです。一周忌と三回忌は、儒教で「親を亡くして十三ヶ月の祀りを小祥、二十五ヶ月の祀りを大祥」というところがもとになっているとされています。つまり三回忌までは中国起源の風習、七回忌以降は日本独自の風習ということです。

三回忌が終わると、次の回忌法要は七回忌。十七回忌や三十三回忌など、法要は三や七がつく年に行われることが多いですね。これはもともとの仏教の風習ではなく、日本に伝来してからのもののようです。七回忌の「七」は、人間が迷いに陥る六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天上道)を超える数であること、また三回忌の「三」は善悪、生死、損得などの二極を超えた数であることから尊ばれるようです。お釈迦様も、「二を超える生き方を目指せ」という言葉を残したとされています。
本来であれば、回忌法要は毎年行うべきものですが、せめて仏教で大切にする数の年忌だけは法要をしよう……ということで、三回忌や七回忌を行うようになった、ということでしょうか。

三回忌の法事は、親族や故人と親しかった方々を招き、お坊様にお願いして法要を行い、故人の供養とお食事を行います。このあたりは、一周忌とあまり変わりません。もともとは祥月命日に行われていましたが、現代では参列者の予定を合わせやすいような土日などに行うことが一般的になっています。どちらかというと、祥月命日よりも前倒して行うことが多いようですね。

神道式では、またこれらの法要(神道では霊祭と呼びます)についての考え方は違います。仏教で回忌法要に当たる霊祭を「式年祭」と呼ぶのです。以下、新式の忌日・式年祭の一覧を挙げておきます。

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翌日祭 葬儀の翌日
十日祭 没後10日目
二十日祭 没後20日目
三十日祭 没後30日目
四十日祭 没後40日目
五十日祭 没後50日目
百日祭 没後100日目
一年祭 没後1年目
二年祭 没後2年目
三年祭 没後3年目
五年祭 没後5年目
十年祭 没後10年目
二十年祭 没後20年目
三十年祭 没後30年目
四十年祭 没後40年目
五十年祭 没後50年目
百年祭 没後100年目

ご覧いただいてわかるように、仏教式にあったような数え年による特殊な数え方はありません。仏教式でいう四十九日が五十日祭にあたります。三回忌は二年祭にあたるように見えますが、神道では三年祭を仏教の三回忌と同様に重視します。五年祭以降は、五年または十年ごとに霊祭を行います。
五十日祭には、墓前に親族、知人などを集め、神官を呼んで神饌を献じて祝詞を挙げ、玉串を供えるなどの神事を行います。五十日祭の翌日は、葬儀の際に神棚や御霊舎を封じるために貼った白紙を取り除く「清祓の儀」を行います。これで忌明けとなり、遺族は普段通りの生活に戻ります。

三回忌のお香典

三回忌では親族以外ではごく身近な人だけを招きます。参列者も気のおけない間柄ということになりますから、お香典や引き出物についてもある程度申し合わせをすることもあります。故人の子供たちで、家族ごとにたとえば長男家族は法要でお呼びするお坊様のお世話、次男家族は食事の手配、三男家族は会場の手配……などと役割を分担することで、形式的なお金のやり取りを省くようなケースもあるのです。家族同士のことですから、きちんと話し合ってお互いの負担にならないような形を考えるとよいでしょう。なおこのような場合でも、お坊様へのお布施や御膳料、お車代などの費用は発生します。この費用をどのように按分するかも、事前に打ち合わせをしておくとよいでしょう。
三回忌の次にあたる七回忌からはごくごく身内だけの法事になりますから、外部の方を招いてある程度の規模で行うのは三回忌が最後になります。故人と関わりのある方々とご一緒する最後の機会になる場合もありますから、期日のお知らせから会場の手配まで、滞りなく行いましょう。

さて、三回忌にお招きいただいた場合のお香典についてです。これも一般的な相場というものはありますが、先に挙げたようにある程度内輪の法事ですから、主催する側に確認してみるのがベストでしょう。確認しづらい場合(たとえば結婚相手の祖父母の三回忌の場合など、距離感が微妙な場合です)は、間柄に応じた額を包んだ上でお渡しする際に「かえって失礼かもしれませんが」などと一言添えるとよいでしょう。不祝儀袋の表書きには「御仏前」「御香料」「御供物料」と、はっきりした黒い墨で書きます。薄墨を用いるのは四十九日までとされていますが、これは「急な訃報を聞き、涙で墨が薄れた」ことを表すものです。神道式では不祝儀袋の水引は黒と白の結び切りで、蓮の花の入っていないものを使用し、表書きは「御霊前・御神前・御玉串料」などと書きます。こちらも、薄墨ではなく濃い墨を用いて書きます。

お香典は、いきなり仏前に供えるのではなく、ご遺族側に「御仏前にお供えください」とお渡しするのが正しいマナーで079146b303c4a3aa5101f2192c02517a_sす。

欠席する場合は、期日のお知らせをいただいた後なるべく早く連絡します。返信用のはがきがある場合はそれを使い、ない場合は電話がよいでしょう。参列する人数が少ないので、会食のお料理などは人数分誂えます。主催側はこの人数を確定させる必要があるため、早く一包を入れる必要があるからです。欠席の場合、上で触れたようなお香典を郵送で送ります。代わりに、お花やお線香などを送る場合もあります。この場合も、主催者側に連絡して確認したほうがよいでしょう。お花は白い花を中心にするように、生花店で依頼します。法事の日に予定が合わなくて欠席、という場合は、後日改めてお参りをするのもよいとされます。

法事が遠方で行われる場合など、なかなか参列できないこともあると思います。とはいえ故人を供養し、共に思い出を語らいたいというご遺族の気持ちがあるわけですから、なるべく都合をつけて参列できるようにしたいものです。

三回忌の意義とお香典

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三回忌法要を行う意味

古くからの習慣には、現代を生きる我々にはなかなか意味が取りにくいものもたくさんあります。三回忌もそのひとつ。法要を行って故人を偲ぶというのはもちろんですが、なぜ亡くなって二年目の祥月命日が三回忌なのか?というのはなかなかご存知でない方も多いでしょう。二年目が三回忌、六年目が七回忌と、以降一年ずつズレながら数えていきます。

なぜこうなるかというと、いわゆる「数え年」の概念によるのです。
現在一般的な年齢の数え方は「満年齢」。これは、人はゼロ歳で生まれ、一年後の誕生日には一歳になる、という数え方です。対して数え年の場合は、生まれた赤ん坊はまず一歳からカウントスタート。次にお正月が来ると二歳になり、その後お正月を迎えるたびに歳を重ねていく、という数え方です。日本でも以前はこの数え方が一般的でした。この考え方を回忌法要に適用すると、故人が亡くなった日が一回忌、一年目が二回忌、二年目が三回忌となりますから、「三回忌の謎」は解けた格好になります。これでよし……とはいきませんね、では一年目に行う一周忌はどうなるのか。これは、「回忌法要と一周忌は数え方が違う」というのが答えです。回忌法要は先ほど触れたように数え年でカウントしていきますが、一周忌は回忌法要は別で、独立して「亡くなられてから一年後の祥月命日」に行う法要です。「回忌」と「周忌」で表記が違うところにご注目ください。同じように祥月命日に行う法要ですが、由来や数え方が違うのです。一周忌と三回忌は、儒教で「親を亡くして十三ヶ月の祀りを小祥、二十五ヶ月の祀りを大祥」というところがもとになっているとされています。つまり三回忌までは中国起源の風習、七回忌以降は日本独自の風習ということです。

三回忌が終わると、次の回忌法要は七回忌。十七回忌や三十三回忌など、法要は三や七がつく年に行われることが多いですね。これはもともとの仏教の風習ではなく、日本に伝来してからのもののようです。七回忌の「七」は、人間が迷いに陥る六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天上道)を超える数であること、また三回忌の「三」は善悪、生死、損得などの二極を超えた数であることから尊ばれるようです。お釈迦様も、「二を超える生き方を目指せ」という言葉を残したとされています。
本来であれば、回忌法要は毎年行うべきものですが、せめて仏教で大切にする数の年忌だけは法要をしよう……ということで、三回忌や七回忌を行うようになった、ということでしょうか。

三回忌の法事は、親族や故人と親しかった方々を招き、お坊様にお願いして法要を行い、故人の供養とお食事を行います。このあたりは、一周忌とあまり変わりません。もともとは祥月命日に行われていましたが、現代では参列者の予定を合わせやすいような土日などに行うことが一般的になっています。どちらかというと、祥月命日よりも前倒して行うことが多いようですね。

神道式では、またこれらの法要(神道では霊祭と呼びます)についての考え方は違います。仏教で回忌法要に当たる霊祭を「式年祭」と呼ぶのです。以下、新式の忌日・式年祭の一覧を挙げておきます。

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翌日祭 葬儀の翌日
十日祭 没後10日目
二十日祭 没後20日目
三十日祭 没後30日目
四十日祭 没後40日目
五十日祭 没後50日目
百日祭 没後100日目
一年祭 没後1年目
二年祭 没後2年目
三年祭 没後3年目
五年祭 没後5年目
十年祭 没後10年目
二十年祭 没後20年目
三十年祭 没後30年目
四十年祭 没後40年目
五十年祭 没後50年目
百年祭 没後100年目

ご覧いただいてわかるように、仏教式にあったような数え年による特殊な数え方はありません。仏教式でいう四十九日が五十日祭にあたります。三回忌は二年祭にあたるように見えますが、神道では三年祭を仏教の三回忌と同様に重視します。五年祭以降は、五年または十年ごとに霊祭を行います。
五十日祭には、墓前に親族、知人などを集め、神官を呼んで神饌を献じて祝詞を挙げ、玉串を供えるなどの神事を行います。五十日祭の翌日は、葬儀の際に神棚や御霊舎を封じるために貼った白紙を取り除く「清祓の儀」を行います。これで忌明けとなり、遺族は普段通りの生活に戻ります。

三回忌のお香典

三回忌では親族以外ではごく身近な人だけを招きます。参列者も気のおけない間柄ということになりますから、お香典や引き出物についてもある程度申し合わせをすることもあります。故人の子供たちで、家族ごとにたとえば長男家族は法要でお呼びするお坊様のお世話、次男家族は食事の手配、三男家族は会場の手配……などと役割を分担することで、形式的なお金のやり取りを省くようなケースもあるのです。家族同士のことですから、きちんと話し合ってお互いの負担にならないような形を考えるとよいでしょう。なおこのような場合でも、お坊様へのお布施や御膳料、お車代などの費用は発生します。この費用をどのように按分するかも、事前に打ち合わせをしておくとよいでしょう。
三回忌の次にあたる七回忌からはごくごく身内だけの法事になりますから、外部の方を招いてある程度の規模で行うのは三回忌が最後になります。故人と関わりのある方々とご一緒する最後の機会になる場合もありますから、期日のお知らせから会場の手配まで、滞りなく行いましょう。

さて、三回忌にお招きいただいた場合のお香典についてです。これも一般的な相場というものはありますが、先に挙げたようにある程度内輪の法事ですから、主催する側に確認してみるのがベストでしょう。確認しづらい場合(たとえば結婚相手の祖父母の三回忌の場合など、距離感が微妙な場合です)は、間柄に応じた額を包んだ上でお渡しする際に「かえって失礼かもしれませんが」などと一言添えるとよいでしょう。不祝儀袋の表書きには「御仏前」「御香料」「御供物料」と、はっきりした黒い墨で書きます。薄墨を用いるのは四十九日までとされていますが、これは「急な訃報を聞き、涙で墨が薄れた」ことを表すものです。神道式では不祝儀袋の水引は黒と白の結び切りで、蓮の花の入っていないものを使用し、表書きは「御霊前・御神前・御玉串料」などと書きます。こちらも、薄墨ではなく濃い墨を用いて書きます。

お香典は、いきなり仏前に供えるのではなく、ご遺族側に「御仏前にお供えください」とお渡しするのが正しいマナーで079146b303c4a3aa5101f2192c02517a_sす。

欠席する場合は、期日のお知らせをいただいた後なるべく早く連絡します。返信用のはがきがある場合はそれを使い、ない場合は電話がよいでしょう。参列する人数が少ないので、会食のお料理などは人数分誂えます。主催側はこの人数を確定させる必要があるため、早く一包を入れる必要があるからです。欠席の場合、上で触れたようなお香典を郵送で送ります。代わりに、お花やお線香などを送る場合もあります。この場合も、主催者側に連絡して確認したほうがよいでしょう。お花は白い花を中心にするように、生花店で依頼します。法事の日に予定が合わなくて欠席、という場合は、後日改めてお参りをするのもよいとされます。

法事が遠方で行われる場合など、なかなか参列できないこともあると思います。とはいえ故人を供養し、共に思い出を語らいたいというご遺族の気持ちがあるわけですから、なるべく都合をつけて参列できるようにしたいものです。